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セイドレイ【完結】
第53章 落日
亜美は雅彦にしがみつきながら、その背中に爪を立てた。
これは私の男なのだ、と。
雅彦が亜美にしたのと同じように、そのしるしとして爪痕を残した。


傍から見れば、きっと愚かに違いない。
愛に溺れ、欲に塗れ、自惚れた男と女は、人の道を外れて生きることを選んだ。

亜美は問う。
では自分はどう生きるべきだったのか、と。

この男に処女を散らされたあの時に、逃げ出していればよかったのだろうか。
それとも自ら命を経ち、両親の元へ旅立てばよかったのだろうか。

この愛が歪んでいると言うのなら。
こんな生き方が愚かだと言うのなら。

教えて欲しい。

今この身を焦がす快楽の由来は、一体どこにあるのかを。

全ては生きて行くため。
亜美は罪も分からぬまま、先に罰を受けた。
それは、男を欲して止まないこのカラダ。
被虐に見初められた、忌々しいこのカラダだった。

既に代償は支払っている。
ならば、その罪を愛するしか無いではないか。

この男を愛することでしか、罰を受け入れられないではないかーー。




熱を帯びたまま、静かに夜が更けていく。

2人は小さな布団に身を寄せ合っていた。

雅彦の太く逞しい腕に抱かれていると、亜美はこの世界に雅彦と自分しか居ないような気がしてくる。

亜美にはそれが酷く心地よかった。
この世に目の前の男しか存在していないのならば、その男を愛することはごく自然なこと。

そして、その男との間に生命を宿す。
何も不思議なことなど無い。


互いの瞳が、その姿を映す。


「...亜美」

「なに...?」

「...すまなかった」

「.....もういいの。だから、もうどこへも行かないで?私を...独りにさせないで...」

「...分かった。なぁ、亜美...」

「...ん?」

「...やっぱりいい。何でもない」

「言って...?お父様...」

「...もう寝るぞ」

「だめ。言って...?」



「...ただいま」
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