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セイドレイ【完結】
第53章 落日
翌朝ーー。

仕事のため、6時に目を覚ました健一はキッチンへ向かう。

「あ...ママ...?」

そこには、普段通りに朝食を準備する亜美の姿があった。

「あ、健一さん...おはようございます」

「...お、おはよ」

見たところ、亜美に特段変わった様子は無い。
それどころか、ほんの少しばかり表情が明るいような気さえする。

気のせいかーー。
健一は亜美に尋ねてみる。

「...ゆうべはどうだった?親父...結局何だって..?」

「...はい。うちに...居てくれるそうです」

「そっ...そっか!良かったな!ほら...言ったろ?大丈夫だって。...ったく、親父もめんどくせぇ奴だよなぁ。だったら最初から素直に言うこと聞けっつーの!」

「...あはは。そう、それでお父様のことについて、健一さんにちょっとお話が...今日の夜、また話しますね」

「お、おう...分かった。...ところで親父は?まだ寝てるのか?」

「いえ...今、お風呂に入っていただいてます。そろそろ上がられると思うので...よかったら朝ごはん、一緒に召し上がってください」

「...ここに居ると決めた途端、朝風呂かよ。図々しいやっちゃなぁ。まぁ、いっか。親父と朝メシ食うのなんて何十年ぶりだろ...」

「...そうなんですか?」

「うん。俺が起きる頃には、いつも親父は病院に居たからさ。俺、これから毎朝親父と朝メシ食うのか...なんか微妙...」

「ま、まぁそう言わずに...これからはゆっくり、家族の時間を過ごしましょう?」

「...そだな。それに...」

健一はおもむろに、キッチンに立つ亜美の背後から抱きついた。

「...やんっ?!健一さんっ?急にどうしたの...?」

「.....俺たち夫婦が愛し合ってるとこ、親父に見せつけてやんねぇと...な?ママ...」

そう亜美の耳元で囁きながら、健一はエプロンの上から乳房を揉みしだく。

「...あんっ...健一さっ...ダメっ.....お父様に見られちゃうっ...」

「...ん?だから見せつけるんだろ?たとえ親父が戻って来たって、ママの夫は俺だ。勘違いしてもらっちゃ困るからな。ママは俺のだもん...」


「...誰が勘違いしてるって?」

そんな風にちちくり合う2人を、風呂から上がった雅彦が一蹴する。

「...お、親父っ!?」
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