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セイドレイ【完結】
第53章 落日

「...亜美、すまんがそこの馬鹿は放っておいて、ワシにお茶を一杯淹れてはくれないか?」
「なんだとこの~...。ママ、あんなクソ親父の言うことなんて聞かなくていいからな?茶くらい自分で淹れろってんだ」
「ま、まぁまぁ...お二人とも...仲良くしてくださいっ...さ、ごはんできましたから。お父様、すぐお茶淹れますね」
朝からそんな親子喧嘩を交わす2人を、亜美は微笑ましく思う。
そしてようやくあの『つづき』が始まるのだと、この朝に想いを馳せながらーー。
「...そっか。良かったね。一時はどうなることかと思ったけど...」
その後、起床した慎二は亜美から昨夜の事情を聞きつつ、遅い朝食を摂っていた。
「...ええ。私ももう無理かな、って思ってたんですけど。...それで、お父様のことで少しお話が。朝は時間が無かったので健一さんにはまだ話して無いんですが...」
亜美はそう言うと、表情を少し曇らせてうつむく。
「...親父のこと?」
「はい。実は.....」
亜美は、雅彦が余命を宣告されているらしいことを慎二に告げる。
「...嘘...だろ?病名とか、病状とかは...?」
「それが...私も詳しくはまだ...。ただ、もう長くない、と...またちゃんと聞いてみようとは思ってるんですが...なんて、悠長なこと言ってる場合じゃないかもしれないですけど...」
「...全然、元気そうに見えるのに。そっか。それもあったから、親父は亜美に会いたく無かったのかもね...。元々親父、仕事ばっかで自分の健康のことは二の次だったから。でも...余命、って言われると...親父は覚悟してるのか?何かできることは無いのかな?...せっかく亜美がずっと待っててくれたってのに、親父っ...!」
「...私はいいんです。もしかしたらもう二度と会えないかもしれなかったですし...慎二さんや健一さんの協力がなきゃ、お父様を待つこともできなかったですから。ただ、余命がどうであれ...できるだけそばに居たいな、と...今はそう思っています」
「...親父は幸せもんだよな。亜美にそこまで言ってもらえるなんてさ。...俺も、できることは何でもするから。あんな親父だけど...でもそれが、亜美のためになるなら...」
「...ありがとうございます」
「なんだとこの~...。ママ、あんなクソ親父の言うことなんて聞かなくていいからな?茶くらい自分で淹れろってんだ」
「ま、まぁまぁ...お二人とも...仲良くしてくださいっ...さ、ごはんできましたから。お父様、すぐお茶淹れますね」
朝からそんな親子喧嘩を交わす2人を、亜美は微笑ましく思う。
そしてようやくあの『つづき』が始まるのだと、この朝に想いを馳せながらーー。
「...そっか。良かったね。一時はどうなることかと思ったけど...」
その後、起床した慎二は亜美から昨夜の事情を聞きつつ、遅い朝食を摂っていた。
「...ええ。私ももう無理かな、って思ってたんですけど。...それで、お父様のことで少しお話が。朝は時間が無かったので健一さんにはまだ話して無いんですが...」
亜美はそう言うと、表情を少し曇らせてうつむく。
「...親父のこと?」
「はい。実は.....」
亜美は、雅彦が余命を宣告されているらしいことを慎二に告げる。
「...嘘...だろ?病名とか、病状とかは...?」
「それが...私も詳しくはまだ...。ただ、もう長くない、と...またちゃんと聞いてみようとは思ってるんですが...なんて、悠長なこと言ってる場合じゃないかもしれないですけど...」
「...全然、元気そうに見えるのに。そっか。それもあったから、親父は亜美に会いたく無かったのかもね...。元々親父、仕事ばっかで自分の健康のことは二の次だったから。でも...余命、って言われると...親父は覚悟してるのか?何かできることは無いのかな?...せっかく亜美がずっと待っててくれたってのに、親父っ...!」
「...私はいいんです。もしかしたらもう二度と会えないかもしれなかったですし...慎二さんや健一さんの協力がなきゃ、お父様を待つこともできなかったですから。ただ、余命がどうであれ...できるだけそばに居たいな、と...今はそう思っています」
「...親父は幸せもんだよな。亜美にそこまで言ってもらえるなんてさ。...俺も、できることは何でもするから。あんな親父だけど...でもそれが、亜美のためになるなら...」
「...ありがとうございます」

