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セイドレイ【完結】
第53章 落日
その後、この日仕事が休みだった亜美は、午後から買い物へ出かけた。
雅彦の生活に必要なものを買い揃えるためだ。

(パンツは...健一さんと同じサイズで大丈夫かな...?)

雅彦の顔を思い浮かべながら、ひとつひとつ選んでいく。

(服はもう夏物よね...お父様はTシャツよりもシャツが似合うかな...)

そんなことを考えながら、店頭に並び始めたばかりの夏物衣料を手に取った時ーー。

(夏.....、か)

余命。
季節を先取りする半袖のワイシャツを見て、亜美は雅彦とあとどれくらい一緒に居られるのだろう、と考える。
できるだけそばに、とは言ってみたものの...それは明日かもしれないのだ。

もし自分がいつ死ぬか分かっていたとしたら。
それがそう遠くない未来の話だとしたら。
果たしてどんな生き方をするだろうか、と亜美は考えてみる。

後悔の無いように、好きなことをして生きるだろうか。

いや、いざ余命など宣告されてしまったら、きっとどうすることもできないのでは無いかと亜美は思う。

特に、まず真っ先に2人の子供の顔が浮かぶ。
幼い彼らを残してこの世を去ることなど、今は想像もつかない。

亜美はかつて二度までも、自らその命を絶とうとした。
両親を亡くした失意のなか、雅彦らの陵辱によって一人目の子供を妊娠してしまったあの時。
ふと魔が差したように、心に真っ黒な闇がにじり寄って来たのを覚えている。

自分をそこまで追い詰めた男と、その男が発端となり生まれた2つの命が、今や亜美の生きる支えになっているという事実。

あの頃の亜美は、守るべきものがあると言うこと、それはすなわち『弱み』だと思っていた。
その最たる例が、貴之の存在だ。
その弱みを新堂に付け込まれ、貴之を守るべく自分から必死に遠ざけようとした。

独りで居れば、誰も傷付けずに済む、と。
しかしそれは違う。
自分が傷付きたくなかっただけだと、亜美は今なら言える。

きっと、昨日の雅彦もそんな心情だったのでは無いか。

(...だとしたら、残された時間で私にできることは...?)


その時、亜美のスマホの通知音が鳴る。

「...ん?」

表示されたメッセージの通知に、亜美は嫌な予感を覚えつつ、恐る恐るそれをタップする。

「.....ちょ、ちょっと...何...コレっ...!?」
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