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セイドレイ【完結】
第53章 落日

「...ただいまー!」
時刻は18時半過ぎ。
いつも通りの時間に健一が仕事から帰宅する。
「ん~いい匂い...今日はカレーかな?ママ~、お腹空いた~...って、アレ...?」
いつもなら、キッチンで夕食を拵えているはずの亜美の姿が見当たらない。
リビングでは、息子達と慎二がテレビを見ている。
「...あ、兄貴。おかえり...亜美ならさっき出かけたよ」
「え...そうなの?夜に外出なんて珍しい...」
「うん。なんか、職場の人から晩メシ誘われたらしくて。まだ入社したばかりで断りににくいから、って。鍋にカレーと冷蔵庫にサラダがあるから、それ食べてね。俺達はもう先に食べちゃったからさ」
「...ふーん。また遅くなんないといいけど。飯だけならまぁ...大丈夫か。あ、そういや親父は?」
「部屋に居るよ。俺も昼間にちょっと喋ったくらいだけどさ...」
「そっ...か。亜美が今朝、なんか親父の件で俺に話がしたいみたいなこと言ってたけど...ま、いっか、帰って来てからで」
「あー...そのことね。また亜美から直接話があると思うけど、実はさ...」
慎二が雅彦の余命宣告について健一に話を切り出したその頃。
亜美はひとり車を運転し、とある場所へと向かっていた。
同僚から食事に誘われた、と家族には嘘を吐いて。
日中、スーパーのトイレにてオナニー画像の撮影を命じられた亜美は、渋々ながらもそれに従った。
免許証を口に咥え、指で陰部に触れたその写真を送ると、男達はたいそう興奮した様子だった。
しかし、男達の要求はそれに留まるはずもなく、亜美はまんまと呼び出しを食らってしまったのだ。
指定された場所は、木下の後輩のアパート。
大学生で、一人暮らしのようだ。
他は皆実家暮らしの為、場所がそこしか無いと言っていた。
自宅から20分程車を走らせると、それらしい建物が見えてくる。
親が金持ちなのだろうか。
大学生の一人暮らしにしては、立派なアパートに見えた。
亜美は付近のコインパーキングに車を停めると、『セイドレイの会』と銘打たれたあのトークルームにメッセージを送る。
『着きました』
そう一言だけ送信すると、すぐに返信が来る。
『303号室です』
亜美はスマホをカバンに仕舞うと、車を降りて男の待つアパートへと向かった。
時刻は18時半過ぎ。
いつも通りの時間に健一が仕事から帰宅する。
「ん~いい匂い...今日はカレーかな?ママ~、お腹空いた~...って、アレ...?」
いつもなら、キッチンで夕食を拵えているはずの亜美の姿が見当たらない。
リビングでは、息子達と慎二がテレビを見ている。
「...あ、兄貴。おかえり...亜美ならさっき出かけたよ」
「え...そうなの?夜に外出なんて珍しい...」
「うん。なんか、職場の人から晩メシ誘われたらしくて。まだ入社したばかりで断りににくいから、って。鍋にカレーと冷蔵庫にサラダがあるから、それ食べてね。俺達はもう先に食べちゃったからさ」
「...ふーん。また遅くなんないといいけど。飯だけならまぁ...大丈夫か。あ、そういや親父は?」
「部屋に居るよ。俺も昼間にちょっと喋ったくらいだけどさ...」
「そっ...か。亜美が今朝、なんか親父の件で俺に話がしたいみたいなこと言ってたけど...ま、いっか、帰って来てからで」
「あー...そのことね。また亜美から直接話があると思うけど、実はさ...」
慎二が雅彦の余命宣告について健一に話を切り出したその頃。
亜美はひとり車を運転し、とある場所へと向かっていた。
同僚から食事に誘われた、と家族には嘘を吐いて。
日中、スーパーのトイレにてオナニー画像の撮影を命じられた亜美は、渋々ながらもそれに従った。
免許証を口に咥え、指で陰部に触れたその写真を送ると、男達はたいそう興奮した様子だった。
しかし、男達の要求はそれに留まるはずもなく、亜美はまんまと呼び出しを食らってしまったのだ。
指定された場所は、木下の後輩のアパート。
大学生で、一人暮らしのようだ。
他は皆実家暮らしの為、場所がそこしか無いと言っていた。
自宅から20分程車を走らせると、それらしい建物が見えてくる。
親が金持ちなのだろうか。
大学生の一人暮らしにしては、立派なアパートに見えた。
亜美は付近のコインパーキングに車を停めると、『セイドレイの会』と銘打たれたあのトークルームにメッセージを送る。
『着きました』
そう一言だけ送信すると、すぐに返信が来る。
『303号室です』
亜美はスマホをカバンに仕舞うと、車を降りて男の待つアパートへと向かった。

