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セイドレイ【完結】
第53章 落日
翌朝ーー。

「...はい。すいません、よろしくお願いします」

亜美はそう言って電話を切り、大きくため息をつく。

「はぁ.....」

電話の相手は、会社だった。
今日は出勤日だったのだが、どうしても出社する気になれず、体調不良ということにして欠勤の連絡をしたのだ。

幸い、電話に出たのは大川や木下では無く、パートの女性だったのですんなり行ったのだったがーー。

(...私、本当に何やってるんだろう)

1日会社を休んだところで、何がどうなるわけでもなく、気休めにさえならないことも分かっている。


『お前さ、本当は戻りてぇんじゃねぇのか?あん時に』


昨日の酒井の言葉が、亜美の頭の中にこだまする。

酒井の話によると、あの事件の加害者達ーー、
特に実刑を免れた会員の多くは、それなりの社会的制裁を受けた後、再び水面下で連絡を取り合いコミュニティを形成していたらしい。

『加害者の会』

そんな皮肉めいた会名を掲げ、『相互扶助』を名目に、職や社会的地位を失った元会員らに対し働き口の斡旋をしていたようだ。
あの事件に関わった者同士の痛み分け、と言ったところだろう。

大川が今の会社の社長を任されているのも実はこの『加害者の会』の計らいによるもの。
かつては他の会員達との馴れ合いを嫌っていた大川も、逮捕後に何もかもを失ったことで背に腹は変えられなかったということだろう。

そんな折、偶然にも亜美と大川は再会を果たす。
大川はその瞬間こそ自暴自棄になり、再び逮捕される覚悟で亜美に対し逆恨みによるレイプを行ってしまうのだがーー、それでも尚、大川の下で働かせて欲しいと訴える亜美によって、事態は思いもよらぬ方向へ進んで行く。

亜美を採用後、大川は『加害者の会』のメンバーにそのことを報告する。
ほぼ時を同じくして、刑期を終えた酒井に対し接触を図った『加害者の会』のメンバーらは、現在亜美が自分達の手中にあることを酒井に告げたのだった。

そしてーー。

(要するに、もう一度私でお金儲けする、ってことよね...)

酒井の提案とは、他ならぬ『あのビジネス』の再開だった。
いや、正確にはその真似事と言うのがしっくり来るだろう。

もう地下室も無ければ、産科医も居ない。
そして、その全てを率いていた新堂という男も居ない。

そんな状況で、酒井は何をしようとしているのか。
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