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セイドレイ【完結】
第53章 落日

先程から、枕元に置いてあるスマホのバイブが鳴り続けている。
恐らく、木下ら『セイドレイの会』のトークルームが騒がしいのだろう。
今は到底、そんなものを見る気にならなかった亜美は、電源を切ってしまおうとスマホに手を伸ばす。
その時ーー。
「...え?」
偶然、スマホに電話がかかってくる。
『水野くん』
そう表示された発信元を見て、亜美は動揺する。
事件後、貴之とは一度だけ会い、その際お互いの連絡先を交換した。
その後は年に数回、忘れた頃にメッセージのやり取りをする関係に留まっており、電話がかかってくることなど無かったのだ。
(よりによってこんな日に...)
亜美はそう思うも、貴之との間の悪さは今に始まったことではない。
逃れられない運命をこんなところにも感じた亜美は、気がつくと通話ボタンを指でタップしていた。
『...あ、出た!もしもし?亜美?俺だけど...』
懐かしい声がスマホから聞こえてくる。
『...突然電話してごめんな。さっきメッセージ送ったんだけど、既読にならなかったからちょっと気になって...今大丈夫か?』
「...う、うん。ごめんなさい...メッセージ気づかなくて...」
『そっかそっか!なら良いんだけど...ていうか久しぶりだよな。声聞くのなんて何年ぶり?...あ、てかさ。電話したのは...そろそろ『アレ』が届いてるんじゃないか、って思って...そのー...』
「...あ、うん!今朝、届いたよ...。ご結婚、おめでとうございます。あと、私なんか招待してくれて...本当にありがとう...」
亜美は、自身の愛液で塗れた招待状を、ぎゅっと握り締める。
『あ、無事届いてたか!良かったー。そうそう、俺もついにさ...もう入籍は済ませてるんだけど。そんで後...来年には子供も生まれる予定なんだ。俺なんかが父親になるなんてまだ想像もつかねーけど...』
「そっ...そうなんだっ?じゃあ、おめでたいこと尽くしだね...水野くんならきっと...ううん、絶対良いパパになるよ。私が保証する。...って、私なんかが言うのも変な話だけど...」
『いやいや、結婚も子育ても、亜美は大先輩だからな。そう言ってもらえると心強いよ』
貴之は一応のところ、亜美のその後の状況を知っている一人だ。
恐らく、木下ら『セイドレイの会』のトークルームが騒がしいのだろう。
今は到底、そんなものを見る気にならなかった亜美は、電源を切ってしまおうとスマホに手を伸ばす。
その時ーー。
「...え?」
偶然、スマホに電話がかかってくる。
『水野くん』
そう表示された発信元を見て、亜美は動揺する。
事件後、貴之とは一度だけ会い、その際お互いの連絡先を交換した。
その後は年に数回、忘れた頃にメッセージのやり取りをする関係に留まっており、電話がかかってくることなど無かったのだ。
(よりによってこんな日に...)
亜美はそう思うも、貴之との間の悪さは今に始まったことではない。
逃れられない運命をこんなところにも感じた亜美は、気がつくと通話ボタンを指でタップしていた。
『...あ、出た!もしもし?亜美?俺だけど...』
懐かしい声がスマホから聞こえてくる。
『...突然電話してごめんな。さっきメッセージ送ったんだけど、既読にならなかったからちょっと気になって...今大丈夫か?』
「...う、うん。ごめんなさい...メッセージ気づかなくて...」
『そっかそっか!なら良いんだけど...ていうか久しぶりだよな。声聞くのなんて何年ぶり?...あ、てかさ。電話したのは...そろそろ『アレ』が届いてるんじゃないか、って思って...そのー...』
「...あ、うん!今朝、届いたよ...。ご結婚、おめでとうございます。あと、私なんか招待してくれて...本当にありがとう...」
亜美は、自身の愛液で塗れた招待状を、ぎゅっと握り締める。
『あ、無事届いてたか!良かったー。そうそう、俺もついにさ...もう入籍は済ませてるんだけど。そんで後...来年には子供も生まれる予定なんだ。俺なんかが父親になるなんてまだ想像もつかねーけど...』
「そっ...そうなんだっ?じゃあ、おめでたいこと尽くしだね...水野くんならきっと...ううん、絶対良いパパになるよ。私が保証する。...って、私なんかが言うのも変な話だけど...」
『いやいや、結婚も子育ても、亜美は大先輩だからな。そう言ってもらえると心強いよ』
貴之は一応のところ、亜美のその後の状況を知っている一人だ。

