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セイドレイ【完結】
第53章 落日
内診の結果、正常妊娠であることが分かった。

医師が説明に入る。

「.....ただ、中絶となりますとパートナーの同意が必要ですので、そのことだけ。では、別室にて看護師の方から説明がありますので、詳しいことはそちらで。お大事にしてください...」

(パートナーの...同意...)


亜美は別室に通され、看護師と手術日をいつにするかを決める。

「...じゃあ、手術はこの日に。7週目での手術になります。で、この紙に書いてある注意書きによく目を通して頂いて、手術当日を迎えてください」

『人工妊娠中絶を希望された方へ』

そう書かれた一枚の用紙には、手術日までの過ごし方や、当日の処置の内容、持ち物等が記載されている。

「...あと、この同意書にご主人のサインを記入してもらって、手術当日にお持ちくださいね」

そう手渡されたのは、『人工妊娠中絶に対する同意書』だった。

「...あ、あのっ...実は...」

「...はい、何かご不明な点はありますか...?」

「い、いえ.....すいません。大丈夫...です」

亜美がそう言うと、看護師は一瞬表情を曇らせる。

「...では、説明は以上となります。また何かあれば、お気軽にお問い合わせください。...お大事にしてくださいね」

「は、はい...ありがとう...ございました...」

亜美はその後、会計を済ませて病院を後にする。

(同意書の...サイン...)

まさか、健一にサインしてもらうわけにはいかない。
そもそも亜美が妊娠していることを、家族はまだ誰も知らないのだ。
仮に告げたとして、それは雅彦の子で無ければならない。
それが亜美の望みであり、出産するとなれば健一や慎二は反対することは無いだろう。

だが中絶するとなると、話は変わって来る。

中絶は保険適用外のため、同意書の欄は夫でなくとも手術自体は受けることは可能である。
また、法律に反することではあるが、亜美が健一の名前をそこに代筆してしまうことも、不可能では無い。

しかし、もしもの事があった時ーー。
日帰りで帰れる手術とは言え、万が一のことが起こらないという確証は無いのだ。

(そもそも、私はこの子をっ...)


すると、病院から出た亜美の前に、一台の黒いワンボックスのバンが待ち構えていた。

(お願い...もう許して...)
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