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セイドレイ【完結】
第53章 落日
酒井はそう言うと、亜美の目隠しを外した。

「んっ…まぶっ…しっ……」

目の前の暗闇に、一瞬にして光が射し込む。
亜美はそのあまりの眩しさに、思わず目を細めた。

徐々に目が慣れ、ぼやけた視界が鮮明になる。

(ここ…は?)

薄汚れたコンクリートの床が一面に広がる。
乱雑に積み上げられた荷物やパレットの数々。
そこかしこに貼られた『安全第一』のプレート。
錆だらけのフォークリフト。

それらが、ここが廃倉庫であることを物語っていた。

「…どうだ?気に入ったか?今日からここがお前の牢屋だ」

「…ここが…私の…?」

「あぁ。何でもワケ有りの物件みたいでなぁ。買い手もつかないまま廃倉庫として放置されてたってワケよ。ま、城島さんの伝手なんだけどな」

「城島…不動産…?」

「おー、ちゃんと覚えてたか?ま、そういうことだ。最初は先行投資として中をちょっくら改装しようと思ってたんだが…この廃れた雰囲気も案外悪くねぇな、と思ってな。今のお前にピッタリだろ?」

酒井らはこの売春ビジネスの為に、あの地下室に代わる物件を探していた。
当初の目論見ではこの廃倉庫を少々改装する予定で、それまでは立山のアパートを仮拠点とする算段だったのだが、事情が変わったらしい。

専用設計の地下室から、寂れた廃倉庫へーー。
酒井の皮肉が、亜美の被虐心を煽る。

(確かに…今の私にはここがお似合い…)

「まぁ、ここなら付近に住民も居ねぇ。一晩中泣こうが喚こうがお構い無しだぜ。ロケーションとしては最高だろ?」

更に倉庫内を見渡すと、三脚を取り付けられたピデオカメラが3台、亜美を睨むようにして設置されている。

そして、全裸で待機するむさ苦しい男、男、男…。
初めて目にするその男達だが、既にこの中の数名は、亜美の3つの穴のどれかへ射精を済ませているのだ。

亜美はその異様な光景に、脳が溶けてしまうような感触を覚えた。
男達は皆、股間にぶら下げた肉棒を腹に付くほどに勃起させ、虎視眈々と強襲の機会を伺っているようだった。

夢にまで見た、夢のような景色が、今目の前に広がっている。
カラダの芯が熱くなり、思わず目尻が下がる。

(これで…よかったんだよね…?)


亜美がそんな物思いに耽っていると、酒井が唐突に誰かを呼ぶ。

「おーい!そろそろいいぜ~?」
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