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セイドレイ【完結】
第53章 落日
今日のこの催しが1人幾らの料金設定になっているのかは不明だが、決して安いとは言えない金額であることは確かだ。

それでも、かつて新堂が会員達から巻き上げていた額を思えば、バイト代をつぎ込めば『あの少女A』を抱けるというのはかなり良心的かもしれない。

この新たなビジネスを、酒井がどこまで展望しているのかは分からない。
事実、輪姦プレイとしての体は為しているものの、今のところあくまで"プレイ"の範疇に収まっている。
これからエスカレートしていくのか、それともさせられてしまうのかーー。

どちらにせよ、今日ここに居合わせた男達は、恐らく帰宅後すぐに禁断症状が出るはずだ。
一度呼び覚まされたケダモノの本能は、理性などでは到底鎮めることはできない。
それは麻薬のように不可抗力性を以て、衝動を焚き付ける。
そして男達は亜美を求めて、またここへやって来るのだろう。

総勢、20名程の男がそろそろ一巡するか、という時。
1人、あまり陵辱的なプレイを好まないのか、それともこの雰囲気に飲まれているのか、ひときわおどおどした男が亜美に恐る恐る近寄って行く。

「…だっ、大丈夫…ですかっ?」

項垂れている亜美に向かって、その男はそう声を掛けた。

「……え?」

他の粗暴な男達とは違うその気遣うような素振りに、誰より亜美が一番驚いているようだった。

「は…はぃ…大丈夫…です」

亜美は、小さくそう返事をする。

「あっ…あの…僕っ……その…亜美さんに…マッ、ママみたいに…して欲しくって…」

「……ママ…ですか?」

「はっ、はいっ…ダメ…ですかね?」

そのやり取りに、周りで傍観していた男達がクスクスと笑い始める。

「…おいおい、ママって!赤ちゃんプレイかよ!キモっ」
「マジか…あいつ何しにここへ来たんだ??」

そんな野次が飛び交う中、その男は至って真剣なようだった。

「…ぼ、僕っ…慎吾、って言うんですけど…できれば"シンちゃん"って呼んで欲しくって…それで…」

ついに、堪えきれなくなった周りの男達から爆笑の渦が巻き起こる。
皆でその男を指差し、腹を抱えて笑っていた。

するとーー。

「…分かり…ました。…すいません、これを外して頂けますか?」

亜美は酒井に、手枷を外すようにお願いする。
酒井は渋々ながら、亜美の拘束を解く。

「…ありがとうございます」
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