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セイドレイ【完結】
第54章 最終章:夢のあと
「…ママ、あいつ…水野の奴…どうだった?」

帰宅後、夫婦の寝室にて、健一が亜美にそう問いかける。

「あ…うん。すごく幸せそうだった。奥さんもね?綺麗だし何だか…とっても明るい人で…本当、会えて良かったな、って…結婚式って良いものだな~って思った」

「そっ…か。ねぇママ、俺らも式挙げちゃう?」

「えっ…?」

「…なんちゃって~。俺の稼ぎじゃそんな余裕は無い!ってことで結婚式は無理だけど…その代わりっちゃ何なんだが、ジャーン!これ…どうかな?」

すると健一は、枕の下から一冊のパンフレットを取り出し、亜美に見せて来る。

「…フォト…ウェディング?」

「そーそー!…本当はさ、親父が生きてる内に…撮りたいな、って思ってたんだけど。ま、もうそれはしゃーなし。でも、せっかくだから写真くらいは、ってずっと思ってて…つーかその…ママの…いや、亜美の。亜美の…ウェディングドレス姿を俺が見たいつーか…着てほしいつーか…むしろ亜美よりウェディングドレス似合う女なんてこの世に居ねぇのに、俺何で着せてやってねぇんだ?って思って…はは」

「…健一…さん」

「ま、そういうことでさ。あ、お金なら気にしなくていいからな?俺がちまちま貯めたヘソクリと…後は慎二の奴が少し…つーかかなり…協力してくれるからさ。つーわけでっ!来週、予約してあるから、そこでプランとか衣装とか色々決めようぜ?……あれ?亜美、どした…?」

亜美は瞳を潤ませる。

「…ウッ、ううんっ…そんな…私なんかの…為にっ…なんだか申し訳なくって……でもっ…」

「…でも?」

「…すごく…嬉しい。健一さん……ありがとう」

「へへっ…良かった。…………あ、そろそろ…準備する?」

「あ、はいっ…そうですね、そろそろ……すいません」

「おっけー。じゃ、今日は"慎二の日"だからさ」

「…はい。あ、あと…そういえば」

亜美はそう言うと、クローゼットの中からとあるものを取り出し、健一に手渡す。

「…えっ…ママ、コレって…?」

それは大人用の『紙オムツ』だった。

「そう。今夜はコレはいてねんねしよっか?明日の朝…"ママ"が取り替えてあげるから…」

「…ほっ、本当に…いいのっ?マッマ!お漏らししていいのっ??」

「うん。…じゃあ、ママ行って来るね?お留守番できる?」

「…うんっ!ママ、行ってらっしゃい…!」
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