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セイドレイ【完結】
第54章 最終章:夢のあと
「おっ…おぉっ…!そうだ……カリのところに溜まったチンカスもちゃんと掃除しろぉ…?」

「んっ…ふぁい……んんっ……」

亜美は舌先で、カリ首にこびりついた恥垢を夢中で舐め取った。

亀頭を掃除した後は、玉袋だ。
パンパンに膨らんだそこには、この醜男の遺伝子が何億個と貯蔵されている。
そう考えるだけで、子宮の奥がジンジンと疼くのだ。

亜美はそのふてぶてしいフグリに鼻を押し付け、すえた臭いを存分に嗅ぎ回る。

「…あはっ…んっ……すごいっ……いいにおぃ……んん…」

「なんだ、キンタマの臭い嗅いで興奮してやがるのか?本物のド変態女だなぁ…?ほら、もっと嗅げ?好きなだけ嗅いでいいぞっ…?」

「んふぅ……うれちぃ…んっ!…ありがとうございますぅ…あんっ…」


この男で、今日は最後だという。
最後を飾るにふさわしい、どうしようもない男だ。

『吐き出す理由』など、有って無いようなもの。
身勝手な苛立ちを、自分よりも弱い者にぶつけたいだけなのだろう。

亜美はそんなどうしようもない男達の排泄を、今夜も自らを便器に見立てて、受け止める。

きっかけは、ひょんなことからだった。
たまたま見ていた情報番組で、『無料食堂』の特集が組まれていた。
これは、とある飲食店経営の店主が、様々な事情を抱えた人に無料で食事を提供している、というものだった。

番組の中で店主がこう言っていた。

『理由は何でもいいんです。お腹が空いているけどお金が無いとか、子供にご飯を食べさせてあげられないとか…そんな時、電話でこっそりその事情を伝えていただければ。お代は出世払いでもいいし、忘れてもらっても構いません。世の中、困った時はお互い様です。お腹いっぱいご飯を食べて、少しでも元気になってもらえたら…そしてその人が、今度は他の困った人に手を差し伸べてくれたら…そんな良い循環が世の中に生まれたらいいな、と…』

そして店主は、続けた。

『私がこんなことをできるのは、普段からこのお店を支えてくれる他のお客様が居るからです。そういう、色んな人の優しさに支えられて、私達は今日も生きています。私のことを馬鹿だと笑う人も居るでしょう。ちゃんとお金を払っている人からしたら納得いかないかもしれません。それでも私は信じたい。たとえ微力でも何かの役に立っている。そう思えることが、明日に繋がるんじゃないかと…』
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