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セイドレイ【完結】
第54章 最終章:夢のあと
亜美はその店主の言葉に、何かとても大事なヒントが隠されているような気がした。
こうして生かされているその意味を見出すためのーー。


『どうして私ばかり…こんな目に遭うの?』


15歳の亜美は、心の中でずっとそう叫び続けてきた。
しかし、誰一人としてその答えを教えてくれる者はいなかった。

そう、答えなど初めから無かったのだ。

他人は亜美を、不幸だと思うだろう。
これからどんな人生を歩もうとも、その壮絶な過去は決して消せないからだ。

しかし亜美は思う。
昨日を否定し続けることは、即ち明日をも奪われること。
ならば、その狭間である今日を生かされている、その意味とは。

(明日に繋がるために、今日の私にできることーー)

亜美に備わる、見返りを求めず、全てを赦し、そして全てを包み込む母性と奉仕の精神。
その一方で、度重なる支配と暴力によって植え付けられてしまった、被虐による絶望がもたらす官能。

そんな、決して同居し得ない両極の性質が、白と黒の絵の具が混ざり合うようにひとつに結びついてしまった時ーー。

そこに出来上がった色は、グレー。

白でもなく黒でもない。
その曖昧な色味は、亜美の中でずっと乖離していた2人の自分がひとつになった証。

叫び続けていた15歳の亜美に、現在の亜美が示した答えだった。

そして亜美は、自ら行動を起こす。
肉欲に呪われたそのカラダに、底なしの母性と慈悲を携えて。
たった1人、薄汚れた個室で便器となり、男達のドス黒い欲望を全て水に流すために。

(黒をグレーに変えるために……)

亜美は、自らの意志で『セイドレイ』となったのだーー。





「…じゃあそろそろブチ込んでやる。ほら、ケツ出せケツっ!」

「は、はぁいっ…」

亜美は便座に手を付き、真っ白な巨尻を男に向けて突き出す。
臀部に書き込まれた無数の『正』の字。
無毛の陰部と、縦割れの肛門が醜男を出迎える。

「…なんだ、お前…ケツの穴もイケんのか?」

「はいっ……どちらがお好み…ですかっ?」

「へへっ…両方に決まってるだろぉ?だがまぁ…まずはその汚ぇマンコからだな。どーせヤリ過ぎてガバガバだろ?まぁしょーがねぇから使ってやるとするか…」

「あっ…ありがとう…ございますっ…」

「今日俺はイライラしてんだよ。何もかも全部お前のせいにしてやるっ…覚悟しとけよ!!このっ…」
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