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セイドレイ【完結】
第54章 最終章:夢のあと
終始デレデレしている夫と、それを母のような優しさで包み込む妻。そんな仲睦まじく見えるこの夫婦が、まさかあの監禁・強姦事件の加害者と被害者であるとは、シャッターを切るカメラマンは夢にも思わなかっただろう。
「はーい!ではこれにて撮影終了でーす。長時間お疲れ様でした!あらためて、この素敵な御家族に拍手を~!」
スタジオのスタッフ達から、亜美と健一、そして2人の息子に拍手が贈られる。
祝いと呪いは、その文字の通り、よく似ているのかもしれない。
「…あ、動いた」
その祝福の喝采に応えるかのように、腹の中で胎動する生命。
たとえその血は呪われていようとも、亜美は何度でも我が子へこう言うだろう。
(あなたには…私しかいない)
とーー。
撮影が終わると、モニターを見ながら写真のセレクトをして、この日は終了した。
およそ2週間前後で、データと共に自宅に郵送されるらしい。
「はぁ~!疲れたけど良い1日だったね。ママ、おつかれ」
「健一さんもおつかれさまです。できあがるのが楽しみ」
帰宅後、子供達も眠りにつき、亜美と健一はリビングでひと息つく。
「慎二さんにもちゃんとあたらめてお礼言わなきゃ…」
「あー?うん。ま、あいつは適当でいいんじゃねぇか?」
「だって…まさかこんなにちゃんとしたものとは思ってなかったから。てっきり、七五三の写真撮るくらいの感覚でいたので…私、そういう世の中のこと、まだまだ全然知らないなぁ…って」
「俺だって知らなかったよ?…だから気にすんなって。これからいくらでも…って、俺が言えた立場じゃないけど…ごめん」
「…もう、そのことはいいんです。私はあなたの妻になった。それが答えですから」
「ありがとう、ママ。あ…で、さっきの返事は?」
「え?あー…内緒、です」
「えー!?家に帰ってからって言ってたのにぃ…ママのいじわる」
「…ふふっ。そういえば…慎二さん、今日はどっか出かけてるんですか?帰って来てから姿が見当たらないんですけど…」
「あー…あいつ?うーん……」
健一はそう言いかけて、時計を見る。
現在の時刻は、22時を少し回ったところ。
「…多分、もうじき帰って来るんじゃないか?」
「そ、そう?いや、珍しいな、と思って…」
そんな会話をしていると、玄関の鍵を開ける音がする。
「あ、帰ってきた…?」
「はーい!ではこれにて撮影終了でーす。長時間お疲れ様でした!あらためて、この素敵な御家族に拍手を~!」
スタジオのスタッフ達から、亜美と健一、そして2人の息子に拍手が贈られる。
祝いと呪いは、その文字の通り、よく似ているのかもしれない。
「…あ、動いた」
その祝福の喝采に応えるかのように、腹の中で胎動する生命。
たとえその血は呪われていようとも、亜美は何度でも我が子へこう言うだろう。
(あなたには…私しかいない)
とーー。
撮影が終わると、モニターを見ながら写真のセレクトをして、この日は終了した。
およそ2週間前後で、データと共に自宅に郵送されるらしい。
「はぁ~!疲れたけど良い1日だったね。ママ、おつかれ」
「健一さんもおつかれさまです。できあがるのが楽しみ」
帰宅後、子供達も眠りにつき、亜美と健一はリビングでひと息つく。
「慎二さんにもちゃんとあたらめてお礼言わなきゃ…」
「あー?うん。ま、あいつは適当でいいんじゃねぇか?」
「だって…まさかこんなにちゃんとしたものとは思ってなかったから。てっきり、七五三の写真撮るくらいの感覚でいたので…私、そういう世の中のこと、まだまだ全然知らないなぁ…って」
「俺だって知らなかったよ?…だから気にすんなって。これからいくらでも…って、俺が言えた立場じゃないけど…ごめん」
「…もう、そのことはいいんです。私はあなたの妻になった。それが答えですから」
「ありがとう、ママ。あ…で、さっきの返事は?」
「え?あー…内緒、です」
「えー!?家に帰ってからって言ってたのにぃ…ママのいじわる」
「…ふふっ。そういえば…慎二さん、今日はどっか出かけてるんですか?帰って来てから姿が見当たらないんですけど…」
「あー…あいつ?うーん……」
健一はそう言いかけて、時計を見る。
現在の時刻は、22時を少し回ったところ。
「…多分、もうじき帰って来るんじゃないか?」
「そ、そう?いや、珍しいな、と思って…」
そんな会話をしていると、玄関の鍵を開ける音がする。
「あ、帰ってきた…?」