この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
セイドレイ【完結】
第54章 最終章:夢のあと
事件発覚と同時にすぐさま自首をしたこの2人は、加害者ではあるものの積極的に捜査に協力する姿勢を見せた。
それは、自分らの刑を少しでも軽くしたいからではなく、亜美に対するせめてもの贖罪からであった。
特に本山は監視等の役目を任されていたことから、事件発覚時点では洗い出し切れていなかった会員の情報をできる限り証言し、それが新たな容疑者逮捕に繋がる有力な手がかりとなった。
また、新堂や酒井が黙秘を続ける中、この2人の証言が重要な証拠として裁判で採用されたことも、事件の全容解明に貢献することとなった。
判決が下り、その後この2人がどうしているのか亜美も気にかかるところではあったのだが…、まさか、このような形で再会するとは。
実は、およそ1年前に、慎二は田中の居所を掴み、亜美や健一の知らないところで密に田中と接触を図っていた。
その際、田中が本山と事件後も付き合いがあることが判明し、2人の消息が掴めたということだ。
その際に2人は慎二から亜美の現状を聞き、当然驚きはしたのだがーー。
土下座を終え、5人はダイニングテーブルを囲むと、まず慎二が事の経緯を説明する。
「亜美…言い出しっぺは俺なんだ。びっくりさせちゃって…ごめん。…俺さ、今こうして亜美と暮らしてるけど…本当はこれじゃいけないんじゃないかって…実は毎日思ってる。兄貴はまだしも…俺はせめてこの家から出て行くべきなんじゃないか、って」
「え…?」
「…兄貴は建前上、夫であり子供達の父親だけど…俺には何もない。それに今は、亜美の一番の願いだった親父も死んじゃった。そんな状況で、俺がのうのうとこの家で暮らしてしまうことに疑問が出てきちゃって…償うどころか、何もかも亜美に甘えてるだけなんじゃないかって思ってさ」
慎二は正直な胸の内を吐露する。
すると本山がそれに続く。
「…で、慎二君はその気持ちを…同じ加害者である俺達に打ち明けてきた。どうするべきなのか…ってな。でも…逆に俺達は、高崎に会って直接詫びたいと思ってもそれは叶わない。あんな軽い刑罰を受けただけで、それ以上償うことが許されないのが苦しくてな。まぁそんでお互い、ないものねだりなんじゃないかって話になって…」
「先生……」
それは、自分らの刑を少しでも軽くしたいからではなく、亜美に対するせめてもの贖罪からであった。
特に本山は監視等の役目を任されていたことから、事件発覚時点では洗い出し切れていなかった会員の情報をできる限り証言し、それが新たな容疑者逮捕に繋がる有力な手がかりとなった。
また、新堂や酒井が黙秘を続ける中、この2人の証言が重要な証拠として裁判で採用されたことも、事件の全容解明に貢献することとなった。
判決が下り、その後この2人がどうしているのか亜美も気にかかるところではあったのだが…、まさか、このような形で再会するとは。
実は、およそ1年前に、慎二は田中の居所を掴み、亜美や健一の知らないところで密に田中と接触を図っていた。
その際、田中が本山と事件後も付き合いがあることが判明し、2人の消息が掴めたということだ。
その際に2人は慎二から亜美の現状を聞き、当然驚きはしたのだがーー。
土下座を終え、5人はダイニングテーブルを囲むと、まず慎二が事の経緯を説明する。
「亜美…言い出しっぺは俺なんだ。びっくりさせちゃって…ごめん。…俺さ、今こうして亜美と暮らしてるけど…本当はこれじゃいけないんじゃないかって…実は毎日思ってる。兄貴はまだしも…俺はせめてこの家から出て行くべきなんじゃないか、って」
「え…?」
「…兄貴は建前上、夫であり子供達の父親だけど…俺には何もない。それに今は、亜美の一番の願いだった親父も死んじゃった。そんな状況で、俺がのうのうとこの家で暮らしてしまうことに疑問が出てきちゃって…償うどころか、何もかも亜美に甘えてるだけなんじゃないかって思ってさ」
慎二は正直な胸の内を吐露する。
すると本山がそれに続く。
「…で、慎二君はその気持ちを…同じ加害者である俺達に打ち明けてきた。どうするべきなのか…ってな。でも…逆に俺達は、高崎に会って直接詫びたいと思ってもそれは叶わない。あんな軽い刑罰を受けただけで、それ以上償うことが許されないのが苦しくてな。まぁそんでお互い、ないものねだりなんじゃないかって話になって…」
「先生……」