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セイドレイ【完結】
第11章 部外者
亜美に行き先も告げぬまま、校舎を抜けて誰もいない体育館へと入っていく本山、
(なんだろう…あまりふたりきりになりたくない……)
「あ、あの…先生、私なにか…──」
「…いいからついてこい」
本山はそのまま体育倉庫に亜美を連れ込むと、その扉を閉めた。
「…急に呼び出してすまなかったな。実は、高崎にちょっと見て欲しいものがあってなぁ」
そう言うと、本山は身にまとうジャージのポケットからスマートフォンを取り出し、その画面を亜美に見せてくる。
「キャッ…──!」
亜美は短い悲鳴をあげ、思わず自分の目を疑った。
「これ…どう見てもお前だよ…な?」
今、目の前でなにが起こっているのかが理解できない亜美。
それもそのはず──。
なんと、そのスマホの画面には、「地下室での慎二と亜美の痴態」が映し出されているではないか。
小さい画面の中で、巨漢の下になり腰を振る少女──。
画質はそこまで良いとは言えないものの、それが "高崎亜美" であることは──限りなく黒に近いグレー、だった。
画面越しでも伝わるその端麗な容姿。
そして、彼女の身近にいる男なら一度は目を奪われたであろう豊満なバストが、画面の中の少女を高崎亜美であると裏づける。
さまざまなことが一瞬にして、亜美の頭の中を駆けめぐった。
なぜ、本山がこの映像を所有しているのか。
何をどこまで知っているのか。
もしや新堂となにか関係が…?
いや、あの映像は慎二と自分しか知らないはず──。
ともあれ、まずは否定すべきではないのか。
しかし、教師が女子生徒に猥褻な動画を見せるというリスクを冒してまで取った行動である。
本山は、なにかを知っているかもしれない。
もし認めてしまったら、どうなってしまうのか。
とにかく、なぜ、こんなことが起こっているのか。
混乱に次ぐ混乱──。
亜美は軽いパニック状態に陥ってしまう。
「まぁ…はいそうです、とは言えねぇよな」
本山はそうつぶやき、一旦動画の再生を止めた。
すると2本の指で画面をズームインして、再び亜美に見せつける。
「…別人にしては、顔も髪型もなにもかもがお前と瓜ふたつだとは思わねぇか?」
身悶える亜美の表情を画面いっぱいにアップして、不敵笑みを浮かべる本山。
亜美は全身の力が抜け、その場で膝がガクッと崩れ落ちてしまう。