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セイドレイ【完結】
第11章 部外者
「この『アミノゴシュジンサマ』てーのは、この気色の悪い男のことだろう?それともまた違う奴なのか?こいつとお前はどういう関係なんだ。援助交際かなんかか?ん?」
そう問いつめる本山も、実は亜美がなぜこのようなことになっているかが理解不能だった。
学園での亜美といえば、成績も優秀で、生徒指導の対象になることもない学園きっての優等生のはず。
両親を亡くしたことにより親族に引き取られ転校してきた、という亜美の背景は本山もなんとなく知っている。
仮にその孤独を埋めるためにこんな行為をしていたとして──それが普段の、あの高崎亜美のイメージとどうしても結びつかない。
不可抗力によるものだったとしても、ではどうして亜美がこんなことを強いられているのか。
それに加えて、動画に映り込んでいた部屋の設備。
あれはどう見ても普通のラブホテルなどではない。
恋人同士の変態プレイの一環なのか──と本山は思うも、相手の男の容姿からするにそれも考えにくい。
いや、人の趣向はそれぞれにある。
亜美にとってはあの男が最愛の──などと、考えれば考えるほど混乱する本山は、しかし同時に未だかつてない興奮を覚えてもいた。
本山自身、このことを亜美に問い詰めるべきか、実のところ数日悩んでいたのだが──最終的にはその "未知との遭遇" について、好奇心による衝動を抑えることはできなかった。
教師としてではなく、男の、ケダモノとしての本能が本山を駆り立てたのだ。
「おい…高崎?黙ってないでなにか言ったらどうな────」
本山が一向に黙ったままの亜美を急かそうとした、その時──。
「おっ…おねがい、しま…す……。先生っ……このことは誰にも…誰にも言わないでっ…────」
消え入りそうな声で、目に涙を浮かべながらそう訴える少女の顔。
それは本山が知っている普段の高崎亜美とも、動画の中の高崎亜美ともまた違っていた。
「高崎…──」
本山はさらに混乱する。
今、目の前にいる少女に対し、激しい劣情を抱いているのは確かだ。
動画をネタに脅しをかけ、あわよくばそのワガママな肉体にあやかろうと今日まで悶々とした数日を過ごしてきたのである。
しかし、いざその瞬間が目前に迫ったところで、亜美が抱えているものはひょっとすると自分の想像を遥かに超えたものなのではないかと──本山は直感的に思ってしまう。