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セイドレイ【完結】
第11章 部外者

亜美はそそくさと校舎を出て下校する。

いつもの帰宅時間を大幅に遅れていたが、おそらく慎二は寝ているだろうし、とくに問題はないだろう。


(でも…まずはこれをなんとかしなくちゃ…──)


亜美は通学路の途中にある公園の公衆便所に入った。
そしてショーツを下ろすと、小汚い和式便器にまたがった。

「ンッ……ンンッ…────」

下腹部に力を込めて、いきむ。
すると、膣口から「ボタッ、ボタッ…」と、白濁したザーメンの塊が次々と便器に滴り落ちた。

亜美は膣内に中指を挿入し、中に残った本山の精液を掻き出そうと試みる。

「はぁ…────」

トイレの個室に、大きなため息が漏れていた。

亜美は、考えなければならないことが増えてしまった。

まず、あの動画投稿サイトの件だ。
あれは慎二の仕業には違いないだろう。
よりによって本山に見つかってしまうとは不運としか言いようがなかったが、今さら嘆いても仕方あるまい。

あの映像に映る女は、紛れもなく "高崎亜美" なのだ。

本山にすべてを打ち明けたことは果たして正しかったのか──これは亜美にも分からなかった。
あんな状況で冷静な判断は無理だったし、どのみち本山は初めから亜美を脅すつもりで呼び出したのである。
だから動画が見つかってしまった時点で、おおよその運命は決まっていたのだ。

しかし、そんな本山にも立場というものがある。
仮にも教師であり、また妻子ある身だ。
本山の要求に応じている限り、ヘタな行動は起こさないだろう。

これまで学校という場所は亜美にとって唯一といえる安息の地だったが、それと引き換えにしてでも秘密は守り通さなければならない。

幸い、本山と新堂にこの件に関してのつながりがなかったことが、まだ救いだったというべきか。

そしてもうひとつ。
慎二があの動画をネット上に投稿した、その意図についてだ。

彼はひきこもりニートではあるが、特に金に困っているわけではないためそれが動機とは考えにくい。
理由はどうあれ、今後もまたほかの動画を投稿する可能性があるということ。
そしてこうしている間にも、あの動画が不特定多数の人間にダウンロードされ続けている、ということである。

このまま放置しておけば、いずれ本山以外の身近な人間にもあれが "高崎亜美" だと特定されてしまうかもしれない。

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