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女ざかりの恋の音色は
第13章 【番外編  完結】眩い光りの中で
十一月の最後の日曜日の午後。

芙実は実家の最寄り駅で、母に借りたクリーム色の小さな車を止めて理志を待っていた。
今日は細かい千鳥柄のワンピースを着て、髪も軽く巻いた。
薄くメイクをして、母から譲り受けたパールのイヤリングとネックレスをつけた。

(ううー・・・・・胃が痛い・・・・・・・。さっさと終わってほしい・・・・・・)

芙実は胃のあたりを抑えながら今日一日のことを予想して大きなため息をついた。
駅の階段を降りてくる理志に気がついて車を降りる。

「理志さん・・・・・・!」

理志はすぐに芙実に気がついて手を上げた。
スーツ姿に手には大きな紙袋を持っていた。
濃紺のスーツに青いネクタイで、理志にしては無難な落ち着いたコーディネートだった。

「遠くまですみません」
「全然。新宿からあっという間だったよ」

芙実は急いで理志の荷物を受け取り車に乗せると、助手席のドアを開けた。

「ど、どうぞ」
「うん」

理志は結婚の挨拶だというのにまったくもっていつもと同じだった。
むしろ楽しそうな、余裕のある表情をしている。
芙実も運転席に乗り込んで車を発進させた。

「こっちではよく運転するの?」
「はい。車ないと生活に不便なので」

芙実の重苦しい気持ちとは裏腹に晴天なうえ、気温も高い温かな日だった。

「あのー・・・・・理志さん、どういう風に挨拶するおつもりで?」
「どういう風にって・・・・・・。普通に’結婚させてください’でいいんじゃないの?」
「・・・・・・そうですか。そうですよね」

芙実の嫌そうな顔を見て理志が笑う。

「なんでそんなに嫌そうなの?」
「理志さんは嫌じゃないんですか?」
「嫌じゃないよ。芙実のお父さんとお母さんに会うのすごい楽しみ」

理志は心底嬉しそうに言った。
芙実は父のことを想ってこっそりため息をついた。

芙実は昨日の夜から実家に帰っていた。
父は、理志がどういう男か、どういったいきさつで付き合いはじめたのか細かく質問してきた。
嬉しそうに話を聞く母とは対照的で、父はものすごく不機嫌そうで、でも知りたくて仕方ないといった様子だった。

父は果たしてすんなり結婚を許してくれるのか・・・・・・。
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