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女ざかりの恋の音色は
第13章 【番外編  完結】眩い光りの中で
自宅に着き、車を停めて理志を見る。

「理志さん、先に謝っておきます。父が失礼なこと言うかもしれません。というか、間違いなく言います。嫌な気持ちにさせちゃったらごめんなさい」

理志はふふっと笑った。

「大事な一人娘だからね。どんな男連れてくるか心配だと思うよ。でも、まあ、大丈夫。俺より芙実のこと大事にできる男なんかいないって断言できるから。一緒に頑張ろ」

そう言って芙実の頭をよしよしと撫でた。
そうだ。芙実が一人で父に立ち向かうわけではない。理志と二人なのだ。
理志の言うように、誠意を持ってきちんと報告すればいいのだ。
芙実は自分に言い聞かせた。

「・・・・・はい!」

芙実は気合を入れて理志を家の中へ招き入れた。
芙実の家は神奈川の中央あたりに位置する街で、次男である父は芙実が生れてから実家の近くに家を建てた。
小さいが庭もあり、車も二台停められるスペースがある。
芙実たちが来たことに気がついて、母が玄関まで小走りでやってきた。
芙実と同じような背格好の母は、50歳を過ぎたが年齢よりずっと若く見られる。
明るめのモスグリーンのニットに黒いタイトスカートは昨日一緒にコーディネートを考えて決めたものだった。

「ようこそいらっしゃました。どうぞお上がりください」

母は嬉しそうに微笑んで理志に入るよう促した。

「お邪魔します」

理志は丁寧にお辞儀をして家に上がった。
芙実の緊張は頂点に達していた。
理志は応接間に入ると手土産を母に渡した。
あら、まあご丁寧にどうもと母はそれを受け取ると、父を呼びにリビングへ向かった。
理志と二人でソファに並んで座る。

「ささささ理志さん・・・・・!大丈夫ですか!?」
「何が?」
「父が来ます!」
「うん。てか、大丈夫じゃないのは芙実の方でしょ」

理志がいつものように笑う。全くもって緊張などしてないようだ。

とうとう父が応接間にやってきた。
理志を見て一瞬怯んだような表情をしたが、すぐにムスっと不貞腐れたような顔になった。
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