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女ざかりの恋の音色は
第4章 逸る気持ち
「あ・・・・・・・。あの、ありがとうございました。今日、チケット譲ってもらって」
理志がいつも以上に優しく柔らかな笑みでこちらを見ていて、どぎまぎする。

会場の人がぞろぞろと歩き出したので、理志は芙実の背中に手をあてて出口を目指して歩きだした。

背中にあたる手が硬く大きくて、男らしさを感じてドキドキする。

(背中、きっとすごい汗かいてるよ~~)

しめってるのではないかということばかり気になってしまう。

外に出ると雨が降っていた。芙実はリュックから折りたたみ傘を出した。

「なんで傘持ってるの」
「朝、天気予報で言ってたから・・・・・・。蒼井さんは・・・・・・」
「持ってないよ。入れて」
「・・・・・・・・」

理志が傘を持って、二人で肩を寄せて入る。
気をつけて歩いているのだが、半袖から出た素肌が時々触れ合ってしまう。
聞けば、理志の家はここから歩いて帰れるらしく、駅とは逆の方向だった。

「私、駅まで走るんで、この傘持っていってください」
「いや、おかしいでしょ。これ樫野さんの傘なんだから。俺が走って帰るよ」

いやいや、でもでも、を数回繰り返した後、理志は苦笑して言った。

「じゃあ、駅まで一緒に行って、そこでタクシー乗って帰る。それでいい?」
「はあ・・・・・・」

それならコンビニで傘を買ったらと言おうと思ったが、余計なことを言わずに言われた通りにしといた方が早く済むと思いなおしてやめた。

暗くなった大通りの歩道を二人で歩く。

「樫野さんは何でロキノン女子になったの?」
「大学生の時の、か・・・・・・・仲良かった人に教えてもらって」
「あ、今、彼氏って言おうとしてやめたな?」
「・・・・・・か、彼氏に。結局すぐ別れましたけど・・・・・・」
「ふーん」

芙実は沈黙になりそうになって慌てて先を続けた。

「・・・・・・・あの、最初にライブハウス行った時に、私、曲のノリ方とかもよくわからなかったから、音楽に合わせて体動かしたくても変だと思われたら恥ずかしいなって思って直立で聴いてたんです。でも、ライブ中って当たり前ですけど、みんなステージ見てて、私のことなんか誰も見てなくて。好きに動いていいのかって思って、音楽に合わせて揺れてたら、なんかすごく楽しくて。なんか・・・・・普段の自分を気にしないでいい時間というか・・・・・・」

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