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女ざかりの恋の音色は
第5章 早く二人で・・・・・
それから夏フェスまでは、いつも通りの日常だった。
理志は会社では仕事の用件のみで親しい接触はしてこなかったが、目が合って見つめあう回数は日に日に増えていった。
今まで意識して見てこなかったが、芙実が思っていたより、理志は真面目だ。
朝は芙実よりも早く出社しているし、残業も毎日のようにしている。
システムエンジニアとしての知識も豊富だし、日々勉強しているのが端々で伺えた。
後輩の面倒見も良いし、上司にも好かれているように見える。
次第に理志への想いが募っていく。自分の中で特別な存在にならないようにブレーキをかける日々だった。理志は会社の女性社員にも、同じビルの別の会社の女子にも人気だ。
オフィスでもエントランスでも、可愛い女の子たちと話している姿を何度も見かけた。
その横を、何ともないふりをして通り過ぎる。
早くフェスの日にならないかなぁと指折り数えるようになっていた。
「お先に失礼します」
ライブはなかったが好きなバンドの公開ラジオがあるので、芙実は定時で上がってそのまま渋谷の道玄坂へ向かった。
人だかりが出来ていて、ほとんどお目当ての人物の姿は見えなかったが、ラジオを聞けただけでも幸せだ。しばらくライブに行ってないから、身体がうずうずしてくる。
ラジオが終わり、駅に帰ろうとした時だった。
「樫野さーん!」
「!??」
突然目の前に西野が現れて、芙実は転びそうになった。
慌てて西野が腕を掴んで支えてくれた。
「ごめんごめん、驚いた?また会ったね。俺ら、趣味合うなぁ。やっぱり」
「はあ・・・・・。あ・・・・・・!この前は、チケットありがとうございました」
芙実は頭を深々と下げた。
「あー!そうだよ!あれ、どうだった!?良かった!?」
「はい!すごく!!」
どんな曲をやったかでひとしきり盛り上がったあと、西野がコーヒーでも飲まない?と誘ってくれた。
芙実はチケットのお礼にご馳走しようと決めてついて行くことにした。
「悪いね。ご馳走してもらっちゃって」
「いえいえ、すみません。こんなんで。あ、でもチケット代、蒼井さん、ちゃんと西野さんに渡してくれてますか?」
「渡すも何も、あいつ二倍の値段で買い取ったから」
(・・・・・・・・え?)
理志は会社では仕事の用件のみで親しい接触はしてこなかったが、目が合って見つめあう回数は日に日に増えていった。
今まで意識して見てこなかったが、芙実が思っていたより、理志は真面目だ。
朝は芙実よりも早く出社しているし、残業も毎日のようにしている。
システムエンジニアとしての知識も豊富だし、日々勉強しているのが端々で伺えた。
後輩の面倒見も良いし、上司にも好かれているように見える。
次第に理志への想いが募っていく。自分の中で特別な存在にならないようにブレーキをかける日々だった。理志は会社の女性社員にも、同じビルの別の会社の女子にも人気だ。
オフィスでもエントランスでも、可愛い女の子たちと話している姿を何度も見かけた。
その横を、何ともないふりをして通り過ぎる。
早くフェスの日にならないかなぁと指折り数えるようになっていた。
「お先に失礼します」
ライブはなかったが好きなバンドの公開ラジオがあるので、芙実は定時で上がってそのまま渋谷の道玄坂へ向かった。
人だかりが出来ていて、ほとんどお目当ての人物の姿は見えなかったが、ラジオを聞けただけでも幸せだ。しばらくライブに行ってないから、身体がうずうずしてくる。
ラジオが終わり、駅に帰ろうとした時だった。
「樫野さーん!」
「!??」
突然目の前に西野が現れて、芙実は転びそうになった。
慌てて西野が腕を掴んで支えてくれた。
「ごめんごめん、驚いた?また会ったね。俺ら、趣味合うなぁ。やっぱり」
「はあ・・・・・。あ・・・・・・!この前は、チケットありがとうございました」
芙実は頭を深々と下げた。
「あー!そうだよ!あれ、どうだった!?良かった!?」
「はい!すごく!!」
どんな曲をやったかでひとしきり盛り上がったあと、西野がコーヒーでも飲まない?と誘ってくれた。
芙実はチケットのお礼にご馳走しようと決めてついて行くことにした。
「悪いね。ご馳走してもらっちゃって」
「いえいえ、すみません。こんなんで。あ、でもチケット代、蒼井さん、ちゃんと西野さんに渡してくれてますか?」
「渡すも何も、あいつ二倍の値段で買い取ったから」
(・・・・・・・・え?)