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女ざかりの恋の音色は
第14章 おまけ
「・・・・・・とりあえずこんなもんでいいか」
「はい」
理志はマウスから手を離すと、終わったーと伸びをして床にごろんと寝ころんだ。
クッションを引き寄せて頭の下に入れる。
芙実は、理志が終えた結婚式場の下見の予約のスケジュールをカレンダーに書き込んだ。
これから少しずつ休みの日に式場を見に行こうということになっていた。
「あー・・・・・・こたつ最高~」
目を瞑ってこたつの温かさに浸っている。
理志と暮らし始めて引っ越しが完全に終わり、今日は久しぶりに何も無くゆっくり過ごす日曜日だった。
理志のマンションのインテリアの雰囲気に芙実の家にあったこたつは全く合わないからと芙実はこたつを処分するつもりだった。
しかし、理志が芙実がこたつで彼氏と鍋をしたいという希望を覚えていてくれて、押し問答の末、結局理志のマンションにこたつが設置された。
こたつに入って寝転がる理志を見て、芙実は思った。
「・・・・・・・やっぱり、今日のお鍋が終わったらこたつは処分しましょう・・・・・・・」
「なんで?俺、すごく気に入ってるんだけど」
「理志さんにこたつは似合いません・・・・・・・!」
「え?こたつに似合う似合わないってあるの?」
理志は眉をひそめて芙実を見上げた。
「ありますよ・・・・・!理志さんの休日はもっとスタイリッシュな感じじゃないと!革張りのソファに寝ころんで海外マガジン読むみたいな・・・・・・・!」
「何その偏見。そんなの読んだことないし。ほら、そんなことはどうでもいいから芙実も少し休も。鍋の用意も出来てるし、夕飯までゴロゴロしよ」
「・・・・・・・・・・」
理志がもう一つのクッションを芙実の後ろに置いてポンポンと叩いた。
芙実はペンをこたつの上に置いて渋々横になった。
二人で向かい合って見つめ合う。
日曜の夕方の柔らかな日差しとこたつの温かさは幸せの象徴のような気がしてくる。
その上、目の前に愛する人がいるなんて、こんなに幸せなことはないと芙実はこっそり思った。
「・・・・・・・こうやって、芙実は一人でこたつでゴロゴロしてたわけだ」
「はい・・・・・・。それはそれで、至福の時でしたけど・・・・・・」
「今の方が至福?」
「はい、それはもう。何百倍も」
理志がクッションと共に芙実に頭を近づけてキスする。
こたつの中で理志の足が芙実の足を撫でる。