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女ざかりの恋の音色は
第8章 心堕ちる涙
翌朝、目覚めてからも芙実はベッドから出ることができなかった。時計を見ると昼前だった。

朝方まで眠れなかった。サイトを削除しようとして、今このタイミングで削除した方があの子たちに怪しまれると思ってやめたり、自分のミスなのだから仕方ないと思っても、恥ずかしさで消えてしまいたいと布団の中で悶えたり・・・・・。

スマホを見る。理志からの連絡はなかった。

やはり呆れられたのだ。

(契約更新するのやめよう・・・・・・ブログももう更新しないで、すこし時間をあけて削除しよう・・・・・・)

芙実は正社員としてどこかで働こうと考えた。契約は来月末に更新の話がくるはずだった。
ブログを止めるなら収入も減る。給与や保障のことを考えたら、やはり就職したほうがいいと思った。

昨日の夜中、就職合同説明会の参加の予約をした。今日の13時からだ。

芙実は重い体をなんとか起してシャワーを浴びた。

淡々と着替えを済ませ、食欲がないのでお茶だけ飲んで外へ出た。
気をゆるめると、昨日のバレた時のことが頭に浮かんで胸がぎゅうっと締め付けられる。
芙実は考えないようにして、説明会の会場へ向かった。

芙実は資格のおかげか、システムエンジニアとして必要としてくれているいくつかの会社から担当者の名刺を貰うことができた。

(出来ることなら、今すぐやめて、月曜から別の会社で働きたい・・・・・・)

それが本音だ。しかし、そんなことはもちろん出来ない。

芙実はとぼとぼと帰宅し、とりあえず今日名刺をもらった企業について調べようと思っていた。

マンションについて、自分の部屋の前まで来た時だった。

ドアの前に理志が立っていた。出勤したのか、スーツ姿だった。

「・・・・・・・・・」

芙実はまさかこんな早くに理志が会いにくると思っていなかったので、驚きと恐怖で立ちすくんだ。
連絡もなく直接家に来ると思っていなかった。

芙実が手に提げている袋を見て理志がため息をつく。

「就職説明会って・・・・・・。どこか就職するつもりなの?」
「まだ・・・・・わかりません・・・・・・」

理志が芙実の前に立つ。

「俺、あんなことで嫌になったりしないよ。恥ずかしいのはわかる。でも昨日も言ったけど、そんなこと誰だって・・・・・」
「やめてください・・・・・・!」

芙実は声をおさえて理志を咎めた。

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