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女ざかりの恋の音色は
第11章 恋の音色
芙実は全身で息をしている。まるで溺れていたところを引き上げられて呼吸を取り戻そうとしてるみたいだ。

見ると芙実の目に涙が浮かんでいる。

「・・・・・・ごめん、やりすぎた」

芙実は手で目を押さえてちがうと首を振った。
理志は顔を隠している芙実の手の甲にキスして抱きしめた。
芙実はしばらくすすり泣いていたが、手を理志の背中にまわして抱きつくと呟くように言った。

「理志さん・・・・・・離れていかないで・・・・・・・」

芙実の悲しげな声に、理志は泣きそうになった。

今日一日の様子のおかしい理志を見て不安に駆られていたようだ。

理志はぎゅ・・・・・と強く芙実を抱きしめた。

「離れるわけないだろ・・・・・・」

気の利いた言葉が出てこない。でも、離れることなんて考えられないというのは率直な気持ちだった。

ちゅ、ちゅとキスしては微笑みあう。
ミキの言う通りかもしれない。情事のあとの芙実は特別艶めいて色っぽい。

「な、なんか・・・・・・」
「何?」
「理志さんが・・・・・・かっこよすぎてドキドキする・・・・・・・」
「あれだけのことしといて、なんで今ドキドキすんの」

理志は声を出して笑った。
さきほどの我を忘れて性に没頭している芙実も、中学生の乙女のように頬をそめる芙実も、どちらもたまらなく好きだ。

今までぼんやりしていた決意が、輪郭を帯びてきた気がする。

理志は優しく微笑んで言った。

「では、今日のメインイベントのパジャマタイムといきますか」

もちろん、メインはセックスだ。理志がわざとらしく言うと、芙実もそれを理解して笑った。

「今までのがオープニングアクト?」
「そうそう。芙実の秘蔵のパジャマに袖を通すには十分な前座だったでしょ?身体、温まった?もう少し必要?」
「十分温まりました!!」

芙実の全力の拒絶に理志は思わず噴出す。

二人でシャワーを浴びる。出来たら二回戦いきたかったが、全身の疲労とこれ以上ないくらい満たされた気持ちを感じて無理だなと思う。
今日は一回戦目がすごすぎた。明日一日中やってやると理志は心に決めた。

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