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我が運命は君の手にあり
第10章 第十章
「さえちゃん、ちょっと痩せた?」
信子は編み物の途中で手を止め、冴子の様子を伺った。
「そんな事ないよ」
「疲れてるんじゃないの? 外は寒いんだし、 無理して来なくてもいいんだよ」
「大丈夫だよ、私おばあちゃんに会いたくて来てるんだから」
「それは嬉しいけど、ここんとこ元気がないみたいだから」
秋に編み始めたマフラーは、年が明け、二月を迎えても完成には程遠い。縫い目も揃わず幅も均一とは言えなかったが、さえちゃんのマフラーだよ、と言う祖母の笑顔が冴子を癒した。
「おばあちゃん、ここ、穴空いてるよ」
「そうなのよ。でもね、穴が空いてるのにほどけてないでしょ。隣の糸を上手くからめてなんとかしたの。ほら、ちょっとひきつってるでしょ? 編み目の数が勝手に増えたり減ったりするのよ。教えてくれるスタッフさんがね、芸術作品になりそうですねって」
「ふふっ、その芸術作品はいつ出来上がるの?」
「そうねぇ、この倍は編まなきゃならないから……次の冬までには」
「首を長くして待ってます」
信子は編み物の途中で手を止め、冴子の様子を伺った。
「そんな事ないよ」
「疲れてるんじゃないの? 外は寒いんだし、 無理して来なくてもいいんだよ」
「大丈夫だよ、私おばあちゃんに会いたくて来てるんだから」
「それは嬉しいけど、ここんとこ元気がないみたいだから」
秋に編み始めたマフラーは、年が明け、二月を迎えても完成には程遠い。縫い目も揃わず幅も均一とは言えなかったが、さえちゃんのマフラーだよ、と言う祖母の笑顔が冴子を癒した。
「おばあちゃん、ここ、穴空いてるよ」
「そうなのよ。でもね、穴が空いてるのにほどけてないでしょ。隣の糸を上手くからめてなんとかしたの。ほら、ちょっとひきつってるでしょ? 編み目の数が勝手に増えたり減ったりするのよ。教えてくれるスタッフさんがね、芸術作品になりそうですねって」
「ふふっ、その芸術作品はいつ出来上がるの?」
「そうねぇ、この倍は編まなきゃならないから……次の冬までには」
「首を長くして待ってます」