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我が運命は君の手にあり
第14章 第十四章
違う、弄んでなどいない。元はと言えば旦那様が……

運命を変えてくれた染井剛介はもういない。恩人である彼を憎むべきなのか。薄暗い穴から救いだし、秘めていた欲望を満たしてくれた男……彼が、旦那様が死んだ。
冴子は千々に乱れる気持ちに振り回され、箸を落として顔を覆った。と、腕に遼の感触が残っている。

「……遼さん」

愛しさが込み上げ、そこに手を重ねた。少しも遠ざかっていない、遼の心が感じられる。

――女はひとりで泣くものですよ

己を哀れんで泣く涙。時江の放った言葉の意味が、少しわかった気がした。
冴子は声を殺して嗚咽し、泣き続けた。
誰にも罪はなかった。見苦しく、浅ましい自分こそが悪だった。

時江の中にもこんな醜さがあったのか。一人泣く夜があったのだろうか。

雪があたっては解ける窓ガラスに、屋敷の数寄屋門が浮かんだ。雪見障子、水盤に浮かんだ薮椿、花鋏の音。何度となく思い出してきた景色はあの工房にたどり着き、やがて最後の夜の情景、背に受けた遼の叫びで終わりを告げる。

あぁそうだ。あれはこれ以上ない、自分に相応しい結末だった。
冴子はそう自分を戒め、後戻りできない現実を飲み込んだ。

明日からまた、白い磁器と向き合って生きよう。そして、いつものように彼の幸せを心から願う。それが自分自身の幸せと感じられるまで。




 ……・・・……・……………

久しぶりの更新がたったの2ページですみません、
次はもう少しがんばります。

さて、サイトニュースでコンテストのお知らせがありました。これまでと少し趣が違うようですね。

このところずっと考えていたのですが、コンテストの応募、見送ろうと思います。
以前の賑わいはどこへやら。と感じている読者様も多いのではないでしょうか。
この作品完結後は、他サイトにも公開するつもりです。
官能なしの作品も書いていきたいので、読書に没頭し、己の未熟さを再確認しながら次に進みたいと思います。やはり勉強になりますからね。

とはいえ今は完結に向けて、老体(笑)にむち打ちながら書いていきますので、是非とものんびりお待ちくだされば嬉しいです。

いつもありがとうございます。
m(_ _)m


RIN

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