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我が運命は君の手にあり
第13章 第十三章
会場に入ってすぐの受付カウンターで、野田と糸川が余裕の笑みで客を迎えている。冴子の着物を借りた二人は、昨日までとはがらりと変わった立ち居振る舞いで、スタッフらを感心させていた。
若い女性客から質問される事も頻繁にあり、二人の気さくな対応によって、華道入門への敷居が低くなる期待感があった。

「あなた達、ここのお花の名前を全て覚えたの?」

本城の話を聞き付けた多部師範が野田の前で足を止めた。

「はい、 お客様によく質問されるので、いつの間にか覚えてしまいました」

糸川がここぞとばかりに花を指差した。

「ちなみにこれはハマユウ、隣が雪柳に女郎花、そして手まり草、トルコ桔梗」

「上出来ね。次の花展でもがんばって頂戴」

「はいっ、よろしくお願いします」

二人は笑みを浮かべ、互いの拳をこつんと当てた。

「ところで、例の取材は終わった?」

近くにいた本城が糸川に訊ねた。

「はい、予定通り午前中に無事終わりました。益田さんですが、ここの終了時間に、咲さんを連れていらっしゃるそうなので、そろそろ……。お家元もその頃戻ってくると思います。……あ、お家元、お帰りなさい」


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