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我が運命は君の手にあり
第13章 第十三章
糸川の弾んだ声が会場に響いた。

「ただいま。あぁ、多部師範、わざわざお立ち寄り頂いてありがとうございます」

「お疲れ様です。今日は私もこのあとの食事会に参加させて頂こうと思いまして」

「私が誘ったんですよ」

本城と多部は、長年染井流を支えてきた二人だ。本城が場を引き締める存在だとすれば、多部は温和で、人懐っこさが顔に出ていた。日頃から和服を着こなす本城に対して、多部は常にゆったりとしたワンピースで小太りの体型をくるんでいた。

「どうぞどうぞ、今日は一段と賑やかになりそうだ」

多部が遼に近づき、小声で囁いた。

「 咲さんと、あの益田さんも参加するんですよね」

「お家元、多部師範は益田さんがお目当てなんですよ、先日お教室で取材を受けてから、すっかり、ふふっ」

「えぇーっ、そうなんだぁ」

野田と糸川が驚きの声を上げると、多部が「しぃーっ」と人差し指を口にあてた。

「では、益田さんには、師範の隣の席に座っていただきましょう。

遼に言われた多部は、「そ、そう? 別に構わないわよ」と大袈裟に前髪を撫で上げた。明るく賑やかな笑いが起こった。

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