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我が運命は君の手にあり
第2章 第二章
薄ら笑いが目に浮かび、冴子はぎゅっと目を閉じて首を横に振った。降って湧いた幸運をここで逃してどうする。今以上に悪くなりようがないではないか。新しい明日が目の前にぶら下がっている。

――悪いようにはしない

携帯を手に取り、職場に遅刻する旨を伝えた。常にひと言多い担当者の嫌みを、今日は上の空で聞き流した。

空には星が細く瞬いていた。あの星は私をどこへ導くのか。違う、私を導くのは旦那様だ。期待にも勝る胸騒ぎが心を震わせる。
鳴りやまぬ鋏の音。落ちる椿、水に浮かぶ椿、そこに差し込まれる指。あのごつごつと太い中指が、冴子の胸に熱い掻き疵を残していた。





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