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我が運命は君の手にあり
第3章 第三章
年の瀬から年明けにかけて、遼は新春花展の準備に追われ、ようやく今日の初日にこぎ着けた。正式な家元襲名は四月と告示されたが、すでに彼を中心とする新体制で動きだし、行事予定も練られつつあった。それらはみな染井剛介の意向であり、遼に異存はなかった。

「順調に進んでいますね」

スタッフが行き来する会場の隅で、近く退職する北沢真子が横に並んだ。

「開場まで二時間か、もう一息だな。北沢さん、今日から五日間、よろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします。それにしても晴れやかな作品ばかりで見とれてしまいますね」
「うん。師範達気合いが入ってるよ」

松や葉牡丹、銀柳、福寿草、千両など、縁起の良い花材を用いた生け花のひとつひとつに、初春の慶びが表れている。毎年恒例になっているこの花展は、新たな年の幕開けに相応しい催しだった。

「お家元はいらっしゃらないんですか?」
「日程はわかっている筈だから、そのうち顔ぐらいは出すんじゃないかな」


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