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我が運命は君の手にあり
第4章 第四章
バスを降りたそこには、ホテルと見紛う程の建物が重々しく鎮座している。ロータリーの中央では色を変える噴水が空々しく吹き上がって来訪者を出迎え、エントランスには車留めが設けられしている。
日没後の冷気に巻かれて自動ドアを抜けると、フロアを照らす暖かな明かりが冴子を出迎えた。
ライトグリーンの壁には大小様々な抽象画が掛かり、観葉植物や長椅子が整然と並べられたそこは、小さな美術館を思わせる。車椅子置き場を横目に受付けを済ませた冴子は、羽織ってきた道行きを畳んで腕に掛け、面会者用のカードホルダーを受け取った。

「お帰りの際はここへ返却してください」
「はい、ありがとうございます」

三階でエレベーターを降りて広い廊下を暫く行くと、食事を終えたらしい老人が五六人、共有スペースで寛いでいる。

「もしかして、秋津さん?」

若い介護士が、配膳ワゴンを押してきた。

「はい、秋津です。こんばんは」

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