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我が運命は君の手にあり
第4章 第四章
酔いの回った客達の声は、BGMが聴きとれない程賑やかだった。その一角に陣取っている遼達からも時折歓声が上がり、拍手が湧き起こっている。結婚を目前にした北沢や、それを羨む女性スタッフ、それをからかう男性陣だ。

手洗いから出てきた遼は、すれ違い様耳にした北沢の言葉に立ち止まった。

「このあと、どこかで二人きりになりませんか?」
「えっ?」
「だめですか?」

今夜の話題の中心は彼女だ。その最中の誘いに遼は唖然とした。

「酔ってるの?」

まさか結婚前の身であることを忘れてはいないだろう。

「酔った勢いにしてもらっても構いません、二年前のように」

そう仕向けたのは君の方だろう?
遼は言いかけた言葉を飲み込み、彼女と向かい合った。
今宵もいつも通り、着物を洋服に着替えてからやって来た北沢は、栗色の髪を下ろし、煉瓦色のワンピースにパールのネックレスをしていた。歩く度に裾が揺れ、落ち着きのある彼女をより優雅に見せている。
あの夜と同じシャンプーの香りが、忘れかけていた遼の欲望を掻き立てた。



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