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第15章 夜の闇に…。

ところが………

呼び鈴に出てくるであろうと
静かが予測した孝は出てこない。

確かにリビングには灯りが…

玄関脇からはレースのカーテンが取り付けられた
リビングの灯りが見える

『主任…　会いたい…　抱きしめてくれないかなぁ…』
静香は
思わず玄関脇から
リビングに面した
孝の家の中庭に足を踏み入れた。


………あ！いた！！

静香の目の前に
レースのカーテン越しに
確かに孝の姿がうっすらと浮かんだ


『主任…。』
静香は意を決して
そう声を出した…
だが………
その声は孝には届かない

何やら
孝はリビングのソファに深々と座りながら
宙を見上げるような姿で
かすかに何やら
呟きながら
こちらに背を向けて座っていた…。


『もう一度だけ…声をかけよう…。　それでだめなら帰るしかないかな…。抱かれたかったなぁ………』
静香はそう呟いて

『主任…。』と声をかけながら
リビングのカーテン越しの窓を
コンコンとノックした。