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せめて、今夜だけ…
第7章 夜明けのコーヒーを
足の痛みを我慢しながら、必死に魚月を追いかけた。
普通なら女の脚力になんて当に追い付いてるはずなのに、足が痛くて思うように走れない。

「待てよ…、魚月…っ」
「………っ!」

今、魚月を捕まえた所でどうするんだ?
何を話すんだ?
魚月はもうすぐ結婚するのに…。
昨夜の事はお互いに割り切った行為だったはず。
なのに今更、何を話すと言うんだ?

だけど、俺は気づいていた。
もし今ここで、このチャンスを逃したら…

魚月には2度と会えない…。





……ふざけんなっ!







―――――――「や、やだっ!離して…っ!」

魚月とは2度と会えなくなるかも知れない…。

そう思った瞬間、俺は力一杯腕を伸ばし魚月の腕を捕まえた。

「離して…、離して下さいっ!」

俺の手を振りほどこうとジタバタする魚月。





今日何回目の全力疾走だよ…っ!
もう、心臓が保たねぇよ!






離さない…、離したくない…っ!
その想いが暴れて、いつもの自分ではいられなくなってる。

ジタバタする魚月を押さえつけようと、その場で思い切り魚月の体を抱き締めた。

さっきまでの自分の気持ちをぶつけるように。
そして、暴走した自分の気持ちを落ち着かせるように。




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