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せめて、今夜だけ…
第2章 欲心
合コンなんて、恋人が欲しい男女の集まりなんだろうけど
お互い、建前では楽しく飲んでるふりをしながら、内心は値踏みのし合いだ。
男と女の欲がぶつかり合ってる、あの雰囲気は正直怖い。
しかも、俺らみたいな大手外資系企業となると尚更だ。
桐谷からすればモテて嬉しいかも知れないが、俺は嫌だね。
まぁ、今夜の合コンは同じ会社内みたいだからそこまで貪欲な女はいないだろうから、そこまで身構えなくてもいいだろう。

等と、最初は楽に構えていた。







―――――楽に構えていた、はずなのに…。




「え~、皆さん海外課の方なんですか~?」
「魚塚さんもですか~?」
「海外課なんて、かっこいいですね~!!」



PM8:00。
俺達は相手側(経理部の女性)と待ち合わせをしているイタリアンのレストランに到着。
女性を待たせるのは失礼になるからと、俺達は30分前、つまり19時半には到着。
合コンが開始され、お互いに自己紹介が済んだところでこの空気だ。

女性側は3人、男性側も3人。

男性側は俺と桐谷と田中。
桐谷はいいとしても、この田中とかいう奴とはあまり話した事がない。
歳も俺と桐谷より2歳年下。

「そうなんッスよ~!こう見えて英語ペラッペラッス!!」

話した事はないが、この口調的にだいぶおちゃらけた奴だろうということはわかる。
まぁ、ムードメーカータイプだな。

「海外課って言ったら~、やっぱりうちの社では~、1番の花形ですよね~」





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