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せめて、今夜だけ…
第9章 天使と悪魔
―――――――チンッ…。
音と共にエレベーターは5階に到着。
扉が開くと、目の前の壁には部屋の案内表が貼り付けられていた。
503号室は…。
部屋の案内表と矢印に従い静まり返る廊下を歩いた。
時間的には就寝時間だし他の客はもう寝てるだろう。
くそ…っ、さっきまであんなに急いでた足なのに、今更緊張で足が震えてる。
胸も…、締め付けられるように痛い…。
情けねぇー…。
ここまで来て怖気付いて…、情けない。
魚月に何を言われるのかとか、そんな事を考え出したら急に怖くなってしまった。
しかし、ここまで来て逃げ帰るなんて出来ない。
そして、気持ちとは裏腹に、503号室の前に到着。
ベルを鳴らせば、魚月が出て来てくれる。
魚月に会いたい…。
例え、会って罵倒されるとしても…
「…………っ」
―――――ピンポン…。
震える指で部屋のベルを鳴らした。
しばらくすると、部屋の鍵が外れる音がし、ゆっくりと部屋の扉が開く。
―――――――キィー…。
「……こんばんわ」
例え、さよならを告げられるとしても。
開いた扉の向こうには、魚月の姿が。
魚月の顔を見ただけで、さっきまでの焦りや緊張がほどけて行く。

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