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せめて、今夜だけ…
第9章 天使と悪魔
「あ?全然聞こえねぇよ…」

部屋中に聞こえる声なのに、俺は聞こえない振りをした。
魚月を攻め立てる口実が欲しくて嘘をついた。

「ちゃんと俺に聞こえさせねぇと。また寸止めだぞ?いいのか?」

その言葉に、この地獄を早く終わらせたいのか、魚月の理性が崩壊して行くのがわかった。
その崩壊が俺にはとても心地良かったのだ。

「イカせて…っ!お、お願いしま、す…っ!あぁぁんっ!イカせて下さい…っ!あっ、イッちゃ…、あああっ!!」

縛られた両手でシーツを握り締めながら、最後の力を振り絞るかのように声を張り上げるが、残念ながら俺にはその声は届かない。
聞く気がないんだから。

「イクッ…、あああっ!イッ…、あぁんっ!!おねが…、イカせて、下さ…っ!あぁ…っ」

「くす、聞こえねぇよ…」

「ダメ…、も、ダメぇぇ…っ!あぁ―――――――――」








体を反り返せて、溜まった欲を爆発させるかのように
体を大きく波打たせながら絶頂を迎えた。
快楽が蓄積され、その反動からか悦びに打ち震えるように小さな痙攣を繰り返しながら。





「あーぁ、ちゃんと言わねぇで勝手にイッちゃって…」
「な…、そん、な…っ」




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