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せめて、今夜だけ…
第9章 天使と悪魔
「また連絡する。俺の言うことにあんまり逆らわねぇ方が身のためだぞ…」
「…………っ!」

俯いたまま返事がないが、これは同意したと受け取って良さそうだな。

「それじゃあな」

――――――――――――………。









部屋を後にしたが、きっと今頃魚月は泣いてる。
あの部屋で、自分の事を攻めながら泣いてる。

最低と罵られても、虫ケラみたく嫌われてもかまわない。
あの男と結婚して、いつか忘れ去られるぐらいなら、恨まれてもいいから魚月の中に残りたい。

魚月を泣かせても、困らせても、魚月と繋がっていたい。




エレベーターを降りてフロントを抜けてホテルを出ようとした時だ。




「ありがとうございま―――――――っ!?」






フロントの男性の表情が一瞬凍りつき俺から目を逸らした。
まるで見てはいけない何かを見たかのように。

は?何だよ、あのフロントの男。
人の顔を見るなり目を逸らしやがって、感じが悪い…




そう思ったが、ホテルの窓に映った自分の顔を見て納得した。







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