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せめて、今夜だけ…
第11章 罰は蜜の味
もし、翔太と魚月が結婚したら、市原グループの御曹司の結婚式なら盛大なものになるんだろうな。
たくさんの人に盛大に祝われて、たくさんの人に夫婦として紹介してもらえるのだろう。

魚月の夫と呼ばれるのは俺じゃない。
この男なんだ…。
世間に認められるのは、世間から夫婦と呼ばれ祝福されるのは…。

欲しかった。
喉から手が出るほど欲しかった…。
魚月の隣に行きたい。



大声で、俺のものだと叫びたい――――――。




しかし、俺にそんな事が出来るはずがない。
そんな事をすれば魚月が困るだけ。
今の俺は魚月を傷つけ困らせてるだけの人間だ。
こんな場所で魚月を傷つけたくない。

「魚塚さんはかっこいいし、悪い話しじゃないでしょ?」
「やだ、もう…」

照れたように笑う先輩。
さすがにこれだけ言われては返す言葉も見つからない。

魚月の前で余計な事ばかり言うこの男を本気で殴りたくなった。―――――――――



その後、適当な会話で場を繋ぎ食事会は終了。
結局仕事の話しは少ししか出来なかったが、市原グループはうちの会社と手を組むことに積極的の様子。
こちらとしても断る理由はないし、喜ばしい事だ。
ただ、せっかくのフルコースだったのに料理の味もワインの味も覚えていない。


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