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せめて、今夜だけ…
第11章 罰は蜜の味
「きっとこの後、翔太さんと魚月さんも2人で二次会とかやってるかもよ?私達も飲み直しましょ」

魚月と、翔太さん…?
あぁ、魚月と婚約者か…。







――――――――またもや、心臓にドス黒い何かが広がる。
それは、昨夜も味わった狂気。










この後、2人で…。












あの2人は夫婦になるのだし、2人っ切りになって当然だ。
俺達という邪魔者がいなくなったのだから、この後は2人で…。

その時、俺の脳裏を過ったのは…
昨夜の魚月との情事。

あの泣き顔も、あの笑顔も、あの声も、全部…
あの男に…
あんな男が魚月に触れてるのか?









俺以外の誰かが…っ!









「魚塚君?どうしたの?」

その場に立ち止まり考えたくない予感を払拭しようとしたが、無理だった。
嫉妬で頭が可笑しくなりそうだ…。
俺は魚月の恋人でもなければ婚約者でもない。
魚月を繋ぎ止めて置くのはあの写真しかない。

正々堂々と魚月のそばにいられるのは婚約者のあの男だ。
あの笑顔も、あの泣き顔も、あの困った顔も、全部あの男のものなんだ。

「顔、怖いよ?」

でも…、今誰より、魚月に飢えてるのは俺の方だ。
魚月を欲しいと思ってるのは俺の方だ。

あの男じゃなくて…っ!

苛立ちが抑えられない。
さっきの食事会で暴れずに済んだのが不思議なくらいだ。
こんなめちゃくちゃな考えが頭から離れない。

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