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せめて、今夜だけ…
第12章 蛹、羽化の時
自我が崩壊して行く。
俺が魚月を攻めてるのに、魚月の色に当てられてこちらの理性まで吹っ飛びそうだ…。

「これ、まだ弱だぜ?強にしたらどうなるんだろうな?」

クスクスと笑いながら、強弱ボタンにゆっくりと指をかける。
このまま続けたら間違いなく魚月は壊れてしまうだろうな。
でも、その壊れた魚月が見てみたかった。
魚月が壊れていく様がたまらなく嬉しい。

「だめっ!だめぇええっ!ああぁぁ、ひぅ…っ!」

何度も何度も、強制的に絶頂を迎えさせられて、魚月の体も精神も限界だろう。
お互いに一時の休息もないまま、一心不乱に本能にしがみつく。
自分でも無様だとわかってる。

「お前が悪いんだ…」

こんなの、ただの八つ当たりだ。
愛でも何でもない、ただの八つ当たり。
訳のわからない苛立ちを魚月にぶつけてるだけ。
例えそうだとしても、俺の心は一向に晴れてはくれない。

「お前が…、俺の気持ちを…っ」

ただの暇潰しだと思われてるのが腹立たしかった。
俺のこの無様な気持ちを汲み取らない魚月が悪いんだと、勝手な逆恨みをした。
冷静になれば、魚月には何の罪もないはずなのに。

「お前が…っ!」

俺のものにならねぇなら…



壊れてしまえばいい。







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