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せめて、今夜だけ…
第13章 明けの明星、宵の明星
「すいません…、こんな大事な時期に風邪なんて…」
「大丈夫。契約はほぼ決定してるようなもんだし、魚塚君のお友達が話しを進めてくれたから」
「俺の、友達…?」
「んー、桐谷さん、だったっけ?」

あー、桐谷…。
別にあいつは友達というわけでは…。
あいつ、ちゃんと話しを進められたのか?
一抹の不安を感じながら、風間先輩が何故ここにいるのかが気になった。
何で俺のこのマンションを知ってるんだ?
風間先輩には俺のマンションの住所なんて教えてねぇはずだ。

「先輩は、何でここに?」
「桐谷さんがここの住所を教えてくれたの。いきなり来てごめんなさい。寝てた?」
「あ、いえ…」

…桐谷の野郎、勝手に俺の住所を。
まぁ、名簿でも見れば俺のマンションの住所も書いてあるしな。

「それに、魚塚君、一人暮しでしょ?」

風間先輩の手には何やらスーパーの袋が握られていた。







――――「魚塚君、好き嫌いとかある?」
「いえ、特には…」

自宅の中に入った風間先輩は、キッチンに立つと何やら料理を始めてくれている。
俺は風間先輩が買ってきてくれた冷却シートを額に貼りソファに座り込んでいた。

風間先輩が買ってきてくれたのは、水分補給用のスポーツドリンク数本。
冷却シート、風邪薬。
そして、軽く食べられるゼリーのようなものを数個。

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