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第14章 火花

「………。」

思わずその場に立ち止まってしまった。
風間先輩からの着信。
どうする？出るべきか？あんな事があったというのに、何の話しをするんだ？


――――ﾌﾞｰ…、ﾌﾞｰ…「もしもし」


風間先輩からの着信に戸惑いながらも、俺は着信を受けることにした。
もしかしたら仕事の話しかも知れないし、ここで無視しても何れはまた先輩と何らかの形で会うことになるだろうし。

『もしもし、魚塚君』
「はい」
『元気になって良かった！体調はどう？』

予想に反して先輩の声はとても明るい。
まるで何事もなかったかのように。

「もう大丈夫だと思います」

先輩の明るさに俺は少しホッとした。
あの日の事を追求されでもしたら流石に今は何て応えればいいのかわからない。

「あの時は本当にありがとうございました」
『いいのよ。気にしないで！』

先輩の明るさに胸を撫で下ろした俺は再び廊下を歩き出す。
先輩と他愛ない会話をしながら。

「改めて何かお礼させて下さい」
『別にお礼なんて…。あ、でも―――――』
「でも？」
『お言葉に甘えて１つお願いがあるんだけど…』











その日、俺は先輩にお礼を言って家に帰るはずだった。
持ち帰りの仕事もあるし、体も本調子じゃないし、さっさと帰宅する予定だったのに。