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せめて、今夜だけ…
第14章 火花
「先輩、送りますよ!」

時間はまだ21時過ぎ。
いくら街灯が立ち並ぶ明るい街だとしてもだ。

「家、どのへんですか?タクシー捕まえますよ」
「大丈夫よ!終電までまだまだあるし」
「だったら駅まで送ります」

変質者はいないにしても酔っ払いに絡まれる可能性だってあるわけだ。
先輩は美人だからナンパされる可能性だってある。
昔は、女性を送るなんて事はしなかったのにな、俺。

「それじゃ、お言葉に甘えちゃおうかしら~」

とりあえず、ここから最寄りの駅でいいんだろうか?
ここはBijouxや俺のマンションには近いが、先輩の家は遠いんだろうか?
そもそも、自宅まで送り届けなくてもいいんだろうか?
まぁ、女性の家だし、無理に送り届けるのも失礼だろうしな。
先輩の家が駅から近ければ心配はないのだが。

「駅はどこですか?どの路線で帰るんですか?」

しかし、先輩は酔っ払ってるのか、俺の腕に捕まりながらニコニコと歩き出した。

「いや、あの…、先輩…っ」
「とりあえず~、電車に乗れればオッケーだから~」

いや、電車って…。
どの路線で帰るのか言ってくれないと困るんですが。
それこそ、間違った路線に乗ったらどこに行くかわからないのに。
やはり、先輩は酒乱の気があるようだ。

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