この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
せめて、今夜だけ…
第15章 人魚は海に還る
「幸せにしてもらえ…」
『………。』
魚月の願った結婚ではないが、夫婦になればあの翔太でも優しくなってくれるかも知れない。
魚月と翔太、互いに多少の情ぐらいは芽生えるかも知れない。
夫婦なんてきっと、そういうものだ。
「心配しなくても、あの写真はちゃんと消す」
『ありがとうございます…』
いつか保存した魚月の写真。
今もスマホに残してある。
結婚してしまうなら魚月を脅すネタとしてはもう使えない。
元より、最初から拡散させる気なんかなかった。
これでもう本当に最後だ…。
魚月と話すのも、魚月に電話をかけるのも…、これが最後だ。
最後…。
「最後に食事でもするか?」
『え…?』
「最後ぐらいは紳士に送り出させて欲しい。泣かせてばかりだったから」
最後に思い出が欲しい。
乱暴にしてばかりだったが、最後ぐらい綺麗な思い出が欲しかった。
魚月の泣き顔じゃなく、ちゃんとした笑顔で別れたい。
「あの写真、お前の目の前で消した方が安心だろ?」
『………わかりました』
今までの事もあるし断れると覚悟していたが、魚月の返事は意外にもOKだった。
ホッと胸を撫で下ろした。
「何が食いたい?最後ぐらいは思い切りワガママを言ってくれて構わねぇよ」
『別に、どこでも…』
『………。』
魚月の願った結婚ではないが、夫婦になればあの翔太でも優しくなってくれるかも知れない。
魚月と翔太、互いに多少の情ぐらいは芽生えるかも知れない。
夫婦なんてきっと、そういうものだ。
「心配しなくても、あの写真はちゃんと消す」
『ありがとうございます…』
いつか保存した魚月の写真。
今もスマホに残してある。
結婚してしまうなら魚月を脅すネタとしてはもう使えない。
元より、最初から拡散させる気なんかなかった。
これでもう本当に最後だ…。
魚月と話すのも、魚月に電話をかけるのも…、これが最後だ。
最後…。
「最後に食事でもするか?」
『え…?』
「最後ぐらいは紳士に送り出させて欲しい。泣かせてばかりだったから」
最後に思い出が欲しい。
乱暴にしてばかりだったが、最後ぐらい綺麗な思い出が欲しかった。
魚月の泣き顔じゃなく、ちゃんとした笑顔で別れたい。
「あの写真、お前の目の前で消した方が安心だろ?」
『………わかりました』
今までの事もあるし断れると覚悟していたが、魚月の返事は意外にもOKだった。
ホッと胸を撫で下ろした。
「何が食いたい?最後ぐらいは思い切りワガママを言ってくれて構わねぇよ」
『別に、どこでも…』