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せめて、今夜だけ…
第15章 人魚は海に還る
そう言えば、初めて魚月を抱いた夜は雨だった。
2人してびしょ濡れになって、まるでお互いの体温を確認するかのように抱き締め合ったな。
はは…、ついこの間の事なのに、まるで何年も前のことのように懐かしい。
本当に…。
「…………っ」
魚月にさよならを告げる。
そう決意したのだ。
ここでじたばたしたって何も変わらない。
俺は急いで自宅へと帰った。
他の同僚は交通麻痺を気にして急いでいたが、こんな時会社が徒歩圏内にあるというのは便利なものだ。
自宅に戻った俺はシャワーを済ませ、服を着替え、髪をセットする。
最後ぐらいは見栄を張って格好よく決めたい。
魚月を送り出すのに相応しくありたい。
レストランを予約したのだから、それなりのコーディネートでないといけない。
しかし、この天気ではせっかくの海も見えないかも知れない。
俺はどこまでも間の悪いやつだな。
支度を済ませると外に出て適当にタクシーを捕まえた。
目的地のホテルまでは車で30分。
…魚月ももう向かってる頃か。
この雪だし、道で滑って転んで怪我でもしてなければいいが。
道中、俺の頭の中は毎度の事ながら魚月の事でいっぱいだった。
いや、今夜だけはそうでいたい。
今夜だけは、魚月でいっぱいにしていたい。
魚月の事以外は考えたくない。
せめて、今夜だけ…。
2人してびしょ濡れになって、まるでお互いの体温を確認するかのように抱き締め合ったな。
はは…、ついこの間の事なのに、まるで何年も前のことのように懐かしい。
本当に…。
「…………っ」
魚月にさよならを告げる。
そう決意したのだ。
ここでじたばたしたって何も変わらない。
俺は急いで自宅へと帰った。
他の同僚は交通麻痺を気にして急いでいたが、こんな時会社が徒歩圏内にあるというのは便利なものだ。
自宅に戻った俺はシャワーを済ませ、服を着替え、髪をセットする。
最後ぐらいは見栄を張って格好よく決めたい。
魚月を送り出すのに相応しくありたい。
レストランを予約したのだから、それなりのコーディネートでないといけない。
しかし、この天気ではせっかくの海も見えないかも知れない。
俺はどこまでも間の悪いやつだな。
支度を済ませると外に出て適当にタクシーを捕まえた。
目的地のホテルまでは車で30分。
…魚月ももう向かってる頃か。
この雪だし、道で滑って転んで怪我でもしてなければいいが。
道中、俺の頭の中は毎度の事ながら魚月の事でいっぱいだった。
いや、今夜だけはそうでいたい。
今夜だけは、魚月でいっぱいにしていたい。
魚月の事以外は考えたくない。
せめて、今夜だけ…。