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せめて、今夜だけ…
第15章 人魚は海に還る
「でも…、やっぱり美味しいです…」
変な女だ。
将来は社長夫人になることが約束されてるというのに、こんな料理で満足してるなんて。
魚月、少し見ない間に痩せたな。
ちゃんと食べてないのか?
「少し痩せたんじゃないか?」
ワインを飲みながらも俺は魚月の体が心配だった。
初めて魚月を抱いたあの夜に知った。
魚月は人の何倍もの苦労を背負い、何もかも1人で抱え込む。
翔太との結婚を決意してからも思うことはたくさんあったのだろう。
「最近、食欲がなくて…」
「マリッジブルーってやつじゃないのか?」
そんな冗談を言いながら平静を装うが、本当は魚月が心配で仕方ない。
ただでさえ細い体が更に窶れて見える。
少しの振動で折れてしまいそうなぐらい。
「太っちゃうよりはマシでしょ?ウェディングドレスが着れなくなっちゃいますよ」
「お前は元から痩せすぎなんだよ。もう少し太った方が魅力的だと思うがな」
「魚塚さんのタイプになってどうするんですか」
冗談を言いながら、お互いにクスクスと笑いながら食事を進めた。
今だけは、ほんの一時だけは
お互いに対する憎しみも哀れみも消え失せた。
あんなに酷い事をした相手なのに、まるで本当の恋人のような時間を過ごしていた。
はたから見れば、俺達も普通の恋人のように見えてるのだろうか…。
今だけは…、どこからどう見ても普通の、どこにでもいる恋人同士なのに…。
変な女だ。
将来は社長夫人になることが約束されてるというのに、こんな料理で満足してるなんて。
魚月、少し見ない間に痩せたな。
ちゃんと食べてないのか?
「少し痩せたんじゃないか?」
ワインを飲みながらも俺は魚月の体が心配だった。
初めて魚月を抱いたあの夜に知った。
魚月は人の何倍もの苦労を背負い、何もかも1人で抱え込む。
翔太との結婚を決意してからも思うことはたくさんあったのだろう。
「最近、食欲がなくて…」
「マリッジブルーってやつじゃないのか?」
そんな冗談を言いながら平静を装うが、本当は魚月が心配で仕方ない。
ただでさえ細い体が更に窶れて見える。
少しの振動で折れてしまいそうなぐらい。
「太っちゃうよりはマシでしょ?ウェディングドレスが着れなくなっちゃいますよ」
「お前は元から痩せすぎなんだよ。もう少し太った方が魅力的だと思うがな」
「魚塚さんのタイプになってどうするんですか」
冗談を言いながら、お互いにクスクスと笑いながら食事を進めた。
今だけは、ほんの一時だけは
お互いに対する憎しみも哀れみも消え失せた。
あんなに酷い事をした相手なのに、まるで本当の恋人のような時間を過ごしていた。
はたから見れば、俺達も普通の恋人のように見えてるのだろうか…。
今だけは…、どこからどう見ても普通の、どこにでもいる恋人同士なのに…。