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せめて、今夜だけ…
第16章 泡沫に泳ぐ魚
「散々イッといてまだイク気なのか?」

と、言ってもこれだけ執拗に攻め立てれば絶頂を迎えるのも無理はない。
それでなくとも、魚月の体は敏感になりすぎているのだから。

「あっ、あっ、あんっ!やだ…っ、あああああっ!」

先程から幾度と無く絶頂を迎え、息付く暇もないままに与え続けられる快楽…、その繰り返しばかりで
魚月がいつ絶頂を迎えたのか、その判別すら出来なくなって来ている。

「あああんっ!ひぃぃ…っ!イッ、た…。イッ、たからぁぁ…っ!いやああぁぁぁっ!!」
「まだだ…。お前ばかりイクのは…っ、フェアじゃねぇだろ?…っ!」

女は男よりも快感を得やすい。
魚月が先にイッてもそれは当然の事。
そんなのはガキの頃に読んだエロ本で重々承知である。
ただ、恩着せがましく魚月の仏心に付け入ろうとしているのだ。

「俺はまだイッてもいねぇよ…?」

ニヤリと笑いながら魚月の懇願を一蹴。
こう言えば、魚月は嫌でも耐えざるを得なくなる。
魚月の優しさに漬け込んで攻め立てようとしているのだ。

「ああああっ、だめっ…っ!ごめんなさ…っ、ひうぅっ!ゆ、許してえぇ…っ!」
「ダメだ。もう少し…、我慢しな…っ」

首を左右に振りながら許して欲しいと訴えるが、そんな事をされても、ますます俺を煽るだけなのにな。

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