この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
せめて、今夜だけ…
第16章 泡沫に泳ぐ魚




不思議に思いゆっくりと顔を上げると…



「…先輩?」



そこにいたのは、俺の体に雪が落ちないように傘を差し出した風間先輩だった。

「早く立ったら?他の人の迷惑でしょ」

先輩…?
何で先輩がここに…?
幻でも見てるのか?

先輩に促され力なく、ゆらゆらとした足で立ち上がった。
確かに、舗道のど真ん中で倒れていては他の人の迷惑だな…。

「何でここに先輩が…?」
「今朝会社で魚月さんと電話してたでしょ?ここのホテルで待ち合わせとか何とか…」

あー、そう言えば…、会社の屋上で電話してるところを先輩に見られてたな。

「それで、ずっと見張ってたんですか?俺と魚月をずっと…」

この道を通るかどうかわからないのに、この寒空の中、ずっと俺を待っていたのだろうか?
だとしたら凄い執念だな。

「そんな訳ないでしょ。さっき仕事が終わって、もしかしたらと思って来てみたのよ。そしたら、魚塚君が倒れてたから」

…なるほど。
どこまでが本当か嘘かはわからないが。
情けなく倒れてるところを見られたというのに、今はどうでもいい。
今更先輩の前でかっこつける事もない。

俺に近づき、俺の頭上に傘を差し出してくれる。

今、俺…、すっげぇ情けない顔になってるんだろうな。
今にも泣きそうなのを堪えて、嫉妬にまみれた嫌な顔をしてるんだろうな。


/512ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ